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2007/08/27

立花隆『「知」のソフトウェア』

 情報収集や知的生産の手法を縷々解説した本なのだが、いささか古いのが難点と言えば難点。まだインターネットを活用したりといったことはない時代。コンピュータの活用みたいなことは言及してあっても、例えば前半のほうでは雑誌や新聞のスクラップの方法論について解説されていたりする。ジャーナリストの取材の現場で今でもスクラップという手法が有効なのかどうかはよく知らないが、おそらくはインターネットなどの普及で様相が変わっているのではないだろうか(少なくとも、ある程度の情報収集と整理の作業はインターネットの登場によって代替されているのではないか)。だから逆に、インターネットの時代になって、このような方法論がどう変わったのか(あるいは変わってないのか)に興味がある。そのことによって、手作業的な情報収集・整理とネットを活用した情報収集・整理の本質みたいなものがはっきりすると思うからだ。
 後半はアウトプット、つまり思考方法や原稿を書き進める方法がまとめてあるので、こちらは今の視点からも充分面白く読める。文章を書くのに「コンテ」が必要かどうかという話があって、著者は不要派らしい。僕もけっこう不要派。不要といっても書く前にはアイデアはメモ書きで全部書き出す。これは著者も同様らしい。
 著者も指摘していて、また他の人もよく指摘することだが、コンテはあくまでなんというのか「意識」が想像できる範囲のことしか書かないので、実際に出来上がったものもその範囲内のものしかできない。無意識からの思いもしなかったような創造的展開がなくなってしまう、というわけだ。無論、かと言って自動書記ではあるまいし、無意識だけで文章を書いていくという意味ではない。この辺りの意識と無意識のバランスみたいなものは、よくわかる。万人に共通の方法論としてまとめるのは困難かも知れない。
 面白かったのが、KJ法は役に立たないという指摘。役に立たないというか、これはあくまで複数メンバーが共同で作業をするためのものだが、「二人三脚は一人で走るより必ず遅い」ということで、一人の頭の中でできる作業であれば、わざわざKJ法を活用することはない、という意味らしい。なるほど。
 それから方法論として面白かったのが、集めた材料を「視覚化してながめてみる」ということ。著者は年表を作ってみることを勧める。あとは、「自分が何を書こうとしているのかを人に話してみること」。このことの最大の効用は、自分自身の頭の中が人に話すことによってよく整理できるということである。

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  • 2012/01/30更新
  • 2007/03/12登録

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