2007/09/12
佐々木俊尚『グーグル』
グーグルについてはweb2.0の代表のように言われてやたらに未来的なイメージが先行している。グーグルはそのような未来的な取り組みも実際に行いもしくは行おうとしているようだ。そんなわけで、グーグルの未来的なインパクトを読めるかと思って期待して読んだのだが、わりと現状の話に終始していたのがいささか残念。それでも、このような現状のインパクトでも充分な知識のない人もまだまだ多いのだろう。そういう意味ではグーグルという存在についての丁寧な解説書となっている。
変な言い方かも知れないが、グーグルがすべていうことではない。その核心とはつまりネット社会が持っている変革力の核心であり、それは別にグーグルでなくともよい。現状では確かにグーグルがベストポジションにあるものの、それは未来永劫という確約があるわけでもない。いつ同じポジションにグーグル以外の企業体が取って代わらないとも限らない。そういう意味では、グーグルというより「グーグル的存在」をめぐる本と考えた方が正確だ。
そしてそのようなグーグル的存在は、情報のアーキテクチャーを握ることによってネット社会ひいては情報社会の「司祭」となる。そして、その「司祭」とはきわめて暴力的というか革命的というか、つまり「破壊者」として現れる司祭である。だが、その破壊とは、単にグーグルという企業体が破壊的であるという意味ではなく、グーグル的存在が破壊的であること、つまりネット社会の必然として破壊が進行するということにその本質があるのであり、従ってこの本でも指摘されているように既存の企業も対グーグルの対抗策を取ることによって結果として自らのビジネスの足元を破壊してしまうということも置きうる。グーグルもしくはグーグル的存在というのはそのような破壊を進行するためのあくまで触媒でしかないと考えるのが正しい。
ともあれ、そういった現状を正確に理解するためには、この本は適切な良書だ。なぜグーグルが成功したのかを簡潔に要約すると、グーグル以前の検索エンジンに対してグーグルのアルゴリズムが優れていたことがユーザーの利便性を飛躍的に向上させ、そのことによって検索エンジンがネット社会における「ナビゲーション」の役割を担うようになり、そのこととも相まって広告ビジネスという経営の基盤を築いたことでさらに新しい試みにも取り組めるようになった、とまあだいたいこんな感じのストーリーかと思うが、グーグルの持つ現状のインパクトを理解するにはこの説明で充分だろう。
記述のとおり未来的な視点はいささか具体性にかけるものの、本書で言及されていた「アテンションエコノミー」は広い射程を持つ概念かも知れないと思った。この概念をベースに、社会や経済やメディアの仕組みが変革していけば、という前提ではあるが。
それと、この本のもうひとつの面白さは、ドキュメンタリーとしての面白さだろうか。世の中で「ロングテール」と言われている話は、いささか統計的な話に終始しているけれど、この本では実際にグーグルを活用することによって成功を収めたロングテール的企業の顛末が二社ほど記録されている。この話はなるほどと思わせることが多くて面白い。
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- 自分でできるSEO対策 | Tracked: 07.10.5 5:46 pm
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『ono-deluxe』(小野裕三公式ブログ) 俳句・俳句評論など、いろいろと書き物をしています。 ...
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