2008/01/12
インド雑感
なんと、Tata Nanoのキーワードへのアクセスがえらい勢いで増加中。
発表直前までぴくりとも動かなかったのが、例のモーターショー以降、一日で二ヶ月分くらいのアクセス(笑)。
まぁ、ネタにせよマジにせよ、関心は高いんでしょう。インドも含めてね。
マスコミはインドについて良いことばっかりしか言わないので、公平を期すために異論を書きましょうか。
『日本企業は拙速なインド進出よりも、中国での成果の拡大を重視すべき』
まず最近の論調の背景ですが、こんな感じですよね。
「国内市場縮小で日本の将来やばめ」→「飽和状態になってきた中国進出」→「必ず拡大する超巨大市場」→「カントリーリスクが中国より圧倒的に少ない」→「インドに乗り遅れるな」
てことなんでしょうが、それって希望的観測でしょう?
「今のうちにつばを付けておけば、後は拡大する市場で儲かるかも」てな思いを一方的に込めているというか、、、二匹目のドジョウ狙いの下心が見え見えというか。。。中国の次はインドだ、なんて言ってますが、そんなに甘くないですよ。
中国と二股かけているうちは、インドで「大成功」は無理です(中国とインドの両方でそこそこのシェアを持っている外資は韓国系の数社くらい。成功者の代表に挙げられるスズキでさえ中国ではシェアはほとんど無し。)
インドで成功している外資は「心中する覚悟で、死ぬ気でやってきたところだけ」です。
スズキが大成功を収めたのは「死ぬ気で」やってきたからです。韓国のLGやサムスン、現代自動車が大きなシェアを握ることに成功したのは、「ここで負けたら(日本or中国に食われる!)後がない」という気持ちがあったからです。
インドは成長著しいとはいえ、91年に開国したばかりの途上国です。
日本が華々しい市場拡大に成功した北米または東南アジアでの栄光をにインドは知りません。
我々が80年代以降築き上げてきた「日本、日本製であること」のアドバンテージがほとんど得られません。
(だって誰も知らないんだもん)だから東南アジアで得られたような、嫉妬と羨望と尊敬の入り交じった特別扱いをしてもらえません。
インドにとって日本は「その他大勢の国」の一つです。(外交を見れば明らか)
少なくとも欧米各国、そして中国よりは優先順位が下の相手です。
残念ながら「インドにとって日本は必ずしも必要ではない」ってことです。
よくインドは親日だから、、、とか言いますが、正確には「反日ではない」です。
インド人は誇り高い民族です。先入観と印象だけで判断をしたりしません。バール判事が言ってるのはそういうことなんですけど。
そもそも普通に考えて、日本が好きだから取引をするんじゃないでしょう?ビジネスは利益を上げるためにするんです。
『つまり、完全に「アウェイ」なんですよ。ここでは。』
さらに言いますが、インド市場は日本製造業が得意とする高付加価値品とマッチしていません。
これは新興国全般に言えることですが、インドは「そこそこのモノを安価に」または「高いモノと同じくらいカッコイイモノを安く」、英語で言うところのバリュー・フォー・マネーを異常に重視します。
よく言われる反論で「富裕層はすでに高品質品を求めている」だとか「中間層が拡大するから、それによって高付加価値品の需要が拡大するだろう」なんてのがありますよね。これも希望的観測だと思います。
富裕層云々は否定しませんが、市場が極端に小さいですよ。さらに消費という点では先行してる中国の富裕層相手に韓国や欧米系メーカーに圧勝できてますか?自信を持ってMade in Japanが市場を席巻しているといえるのはカメラくらいだと思うんですけど。
中間層の拡大云々に関してはもっと苦しいでしょう。やっぱり彼らが重視するのは付加価値よりも価格とのバランスでしょうし、日本以外のブランドも彼らへの認知に必死ですから、名前で商品を期待通りに高く売ることは難しいでしょう。
『そして、我々の長所をアピールすることが難しい相手です。』
インドの可能性は否定しません。素晴らしい人材もたくさんいます。経済の拡大も間違いありません。
しかし、その事実自体が大きな壁になる可能性があります。
インド経済はほとんどが、財閥と我々が印僑と呼んでいるNRI(在外インド人)によって成り立っています。
当たり前ですが、彼らが最初の富の分配をします。残りをその他インド企業とすでに進出してる外資・合弁で分け合います。新参者の取り分は最後の部分です。より発展が見込まれる分野は、より多くの目が注がれれるわけです。
中国は違いますよ。中国にとって日本は政治体制こそ違え貴重な「お得意様」です。サッカーの試合ではブーイングの嵐ですが、経済ではある程度の便宜は計ってくれます。そうしないと彼らも困るんで。。。だって身の回りのMade in ChinaがMade in Indiaに置き換わることが想像できますか?
個人的に中国の政治体制は大嫌いですが、彼らが大人でい続けてくれれば、こちらも大人のつきあいで相互共存共栄を計ることは出来ると思うんですけどね。(昔はこんなふうには考えられなかったけど)
ここまで書きましたが、それでも日本企業は「そこそこ」は成功できると思いますよ。世界的に見て地力があるので。ただ、インドは日本より純粋な資本主義国家ですので、油断するとインド企業に買収されるので、お気を付けて。。。
大手企業にお勤めの人はこっちも併せて読むと楽しいかも。
こっちは、まだまだボリュームが少ないけど、インドビジネス用語集など。
コメント(4)
2009/11/09
TomMyHome zeek21さんへ
初めまして。TomMyHomeと申します。私もインドに関わる仕事をしており、「可能性と限界」を日々実感しています。
X村X研あたりの調査資料などを読んでいると、インドでも日本と日本製品のイメージは、韓国ブランドと比べて高いということになっています。ある種の誘導尋問的調査の結果なのでしょうか?海外シンクタンクの資料でそのようなデータに当たったことがなく、というか国籍でイメージを問うというものを見たことがありません。zeek21さんは、逆の結果が出ている資料を読まれたことはありますか?すみません、質問ばかりで。
2009/11/10
zeek21 私も国籍でイメージを問うという資料は見たことがありません。実際のマーケティングにおいて韓国系はグローバルを強調することはあっても、KOREAを前面に出すことはないですし、多くのインド人にとってKOREAがどこにあるのかなんていうのはどうでも良い問題だと思います(韓国系は日系が強いエリアであれば日系を騙ることを厭わないですし、売るためには手段を選びません)。日系が高品質だから買うというインド人も知っていますが、いずれも80年代から90年代の日本家電全盛期の外の世界をしっている層です。したがって、マジョリティではありません。
あくまで個人的な見解ですが、日系のアンケートや調査は、新興国で出遅れている現実から目をそらし「俺たちが本気を出せば、、、」的な希望的観測を膨らませているように思います。
Samsungのキーワードにも書きましたが、家電に関して言えば日系は今この瞬間も負け続けています。ただ、調査会社も商売ですので、顧客に多少は花を持たせようとすることは理解できないではないですが。。。
私も悲観一辺倒ではなく、仲間内にはよく言っているのですが「かつてアメリカ市場開拓にかけた情熱と人材を投入すれば十分に勝機はある」と思います。
2009/11/11
TomMyHome ありがとうございます。韓国勢は駐在員の数自体はそれほどでもなく、「現地化」が進んでいると聞きます。違いは、駐在員の質や投資の量と集中度なのかなと。こちらはいろんな部門からいろんな階層の人がインドに出張するようになりましたが「群盲象を撫でる」状態のように思います。
2009/11/12
zeek21 韓国系との戦いですが、全般的に日系は相手をなめ過ぎです。向こうは死ぬ気で戦ってるのに、こっちはティーカップ片手に呑気にお茶してるようなもんです。インドでは実際、数の上でも韓国人の方が全然多いはずだった思いますが。。。チェンナイの空港は韓国人だらけです。「郡盲象を撫でる」、うちもそうです(笑)。。。仲間内には「インドはこうだ!」と言い切る奴の話は、半分くらいできいとけ、と言ってます。無知の知こそが大事かと。。。









