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2008/03/02

超能力中年

"超能力のアドレナリン
 あなどれないアドレナリンリン
 怒りはスペシャルなサイキックNo.9"
("サイキックNo.9"/THE YELLOW MONKEY)

 その朝、オレは最高に機嫌が悪かった。予想だにしない完徹作業で朝帰り電車の中だったからだ。なんなんだ作業員のあの体たらくは。微細なミスがお客様にどれだけ迷惑かけるかわかってるのか。気の弱さゆえ今まで「ええやんええやん」で澄まして来てしまってたけど金輪際許さない。ドラマに出てくる姑みたいに重箱の隅までチクチクつつくようになってやる。そう沸騰しながら最寄駅に到着するのを待った。

 オレの家の最寄駅は路線の終点だ。当然そっち行きの電車はガラガラだ。最寄駅に着くころには、オッサンオバサン数人と、居眠りしてる黒スーツを着た若い女の子だけだった。居眠りしたいのはこっちのほうだ。別にそいつに居眠りするなと言われた訳じゃないけれど、機嫌の悪いときはなんにでもいちゃもんつけてしまうもんだ。
 電車は駅に着いた。とりあえず家でちょっと寝るか。徹夜したからって次の日まるまる休める訳ではない。たまたま午前は予定がなかったから助かっただけだ。やれやれ、と立ち上がったら黒スーツの女子がまだ寝てることに気づいた。僕はこういうとき、親切に起こしたりすることはないのだが、その朝はあまりに虫の居所の悪さに少しのことも見逃せない状況で、通り過ぎ様頭をポンポンと軽く叩いて「終点だよ」と言ってやった。何故だか分からないが看過しちゃいかんと思ったのだ。女の子は何に絡まれたのかとびっくりして飛び起きて一目散に駆け出した。
 それでオレの虫の居所がさらに悪くなったのか、今度はホームに降り、喫煙コーナーをはみ出してタバコをすってやがるオッサンに「ここ吸うとこちゃうでしょ」と言いがかった。これまたなぜだかわからんが看過しちゃいかんと思ったのだ。些細なミスで自分がこんな目に遭ったのだから、世の中の些細なルール違反も見過ごしちゃいかんと思ったのだろう。果たしてすったもんだの騒ぎは避けられたが、さっきの女の子が改札へのエスカレーターに駆け寄る途中にこっちをおっかないものを見る目で見てたのが目に入った。

 とりあえず一眠りして昼飯にチキンラーメン食って機嫌もそこそこ直して着替えて外に出た。数時間前降りたばかりの最寄駅。改札に向かったらなんと朝頭を叩いて起こした女の子が改札を通ろうとしてた。当然向こうもぎょっとしていたが軽く会釈した。近づいた彼女はこう言った。「ありがとうございました。就活中で今日面接だったんです。」ああまあ確かにこの辺は企業誘致が進んでるからな。「それで自信なくて行きたくなくて寝過ごしたことにしようと思ってたんです。」バカじゃないのか。受けなきゃわかんないだろそんなもん。まあオレの機嫌が悪くて良かったよ。ついでに派手にミスった作業員にも感謝してやってほしい。

"HEYファンキー HEYジャンキー HEYラッキー HEYモンキー
地球が変わってくだんだん
HEYファンキー HEYジャンキー HEYラッキー HEYモンキー
基準も変わってくだんだん
HEYファンキー HEYジャンキー HEYラッキー HEYモンキー
あいまいによりかかった
HEYファンキー HEYジャンキー HEYラッキー HEYモンキー
時代はもう砕け散った
我ら超能力集団だ
我らはもう 我らはもう 不可能 No!"
("サイキックNo.9"/THE YELLOW MONKEY)

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タツミ

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  • 2002/09/01登録
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