2008/04/25
なのに、あの箱はいつもわたしとともにある
引越をするたびに、いつも中をあけてはみるものの、結局そのままふたをとじて押入れのいちばん奥にしまいこむ箱、というものをわたしは持っている。
その中には、友人が東南アジアのどこかの国で買ってきたエビのぬいぐるみとか、むかし作ったサークルの機関紙とか、今ではもう交渉のない人からもらった長い手紙とか、できれば目に触れたくはないが、かと言って捨てられないものが押し込まれている。
そして、何か失くし物があるたびに、どうもあの箱のどこかに入っているような気がするのだけれど、さがしてみたところで実際に入っていたためしがない。そういう箱だ。
大事なものは捨ててしまう。
なのに、あの箱はいつもわたしとともにある。
去年引越をしたときも、なにか妙な気分であのやたら重たい箱をひらいてみた。どれだけ前のものか判らない現像していないフィルムや、たぶんもう捨ててしまっただろう服のボタン。眺めるだけで疲労がたまる。大昔に兄からもらったブックバンドまで入っていた。
大昔って、どれだけ大昔かと言うと、わたしも兄も小学生くらいのときだ。どうしてこんなものをここまで後生大事にとっておいたんだろうかと考えたが、たぶん使いかたがわからなかったからだろう、そういうものって妙に魅力的にみえたりすることもある。それと、兄がわたしにくれるときに、もったいぶって「これはいいものだ」と言ったのをおぼえている。
これはな、お兄ちゃんのだけどな、かわいい妹のお前のためにやるからな、と兄はいつもそういう芝居がかったものの言い方をして、人に恩を売るのがうまい子供だった。その兄もいまや廊下を駆け回る男の子とちいさい女の子の父親だ。自由帳のどのページにもガンダムの頭の絵ばかり描いていたくせに、いまではいっちょまえに何とかのコンサル(謎)をしたりしている。
今みるとそのブックバンドはなんだか安っぽい素材で、こんなものを大真面目にいいものだと思いこんでしまっておいた自分が陽気なばか者に思える。
でも結局、あの引越のときもそれを捨てなかった。捨てようとさえ思わなかった。
ただ箱に戻しただけで。一度も使ったことがないのに。
いつかあのちいさい女の子がもう少しおおきくなったら、兄と同じセリフでくれてみようか。使い方を教えずに、すごくいいのだと言って。
あの子が「?」という顔をしながら、でも目を輝かせるさまが、なんとなくもう瞼のうらに見えてくる。
コメント(7)
2008/04/26
ユー 名前は変わりましたが、おかえりなさい。待ってたよー!ズワーと足せば分かるかな(笑)
gallop おー!ユー以下略さん!笑 なんか仕事ばっかやってるのに飽きたので、また落書きしようかなーと。久々にきたら、いろんな機能がふえてるっぽいなあ。
ユー あ、携帯で見てコメント書いたから、日記の内容にまったく触れてなかった(笑)ブックバンドは、大学時代にちょっと使ったけど、単なる憧れ的なもので結局すぐに使わなくなったな(笑)結局、ペンケースや何やら何やらを持っていくためにカバンが必要になるしね。今の学生は大学名が入ったビニール素材の袋を持ってる子が多いね。捨てないでずっと持ってるものって何かあるかなぁ・・・お兄さんがそのブックバンドに気付いたらすごいね。忘れてそうだけど(笑)
2008/04/27
gallop >ユーさん なんであんなに物を持ちづらいものが流行したんだろう。謎です。風呂敷のほうがよほど使えますな 笑。兄は、絶対忘れてるねー。「これはいいものだ」というのは、要するに、「これは(どうでも)いいものだ」という意味ですからね、あの人の場合。もうだまされない。
gallop ふおう!かみきひとさんだー!ごぶさたしておりました。 キキとララの箱…。わたしの実家の押入れにそれ入ってるかも 笑。で、やっぱりお祭で買ったものとか紙粘土関係が入ってそう。へんな貝。笑。うちにもある。うちのは前の職場の人にもらったホノルル土産でした。あと、父のお土産で、へんな貝で作った亀の置物もあったっけ。亀ってなんだ 笑。貝なんだから、貝でいいじゃないか。
ユー 風呂敷で通学している学生いたら、ちょっと感動(笑)明治っぽい。あ、時代がね。今更気付いたんだけど、こんなベルトと同じ気がしてきた。オレ、ブックバンドをベルトにしてたのか・・・。
gallop あはは。たしかに。ベルトで本をまとめてもいいってことでひとつ。










