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2008/07/11

佐藤可士和『佐藤可士和の超整理術』

 超整理術といった本は世の中にいくらもあるのだけれど、アートディレクターによる超整理術というところがこの本の目新しいところである。本来なら、『佐藤可士和の超発想法』とでもするのがイメージ的には適切で、しかも内容的にも実は発想法に近い部分が多い。それをあえて超整理術としているのがこの本の面白いところでもあるのだが、そしてそれはおそらくこの本のコンセプト自体にも通じている。
 要するにこの本の一番のメッセージは、そのような整理と発想もしくは創造とは根本的なところで繋がっている、という卓見なのだ。ものごと、情報、そして思考、そういったものをとにかく整理することで発想や創造といったものが見えてくる――。なるほど、と思う。そして、そのようなことをアート・ディレクターが言っているというところがとにかく面白い。
 とは言え、同趣旨のことはさまざまな発想法の本の中である程度言われていることではある。つまり、物事の相関性を見つけ出し、独自の視点を見つけ出すことに発想や創造の源泉があるのだ、と。だから、とりわけ新しいことを言っているというわけでも実はないのだが、しかし、それを徹底して整理術というベクトルから解説しきってしまったのは、やはり斬新な気がする。
 それと、もうひとつ面白いと思ったのは、そのような整理術の多くが「インターネット」のアナロジーによって成立しているということだ。彼は実際にパソコンの「フォルダ」に似たものを実際に作って、リアルな書類もそこで管理しているのだという。しかも、会社の同僚と共有して、というのだから、まさに「リアルな共有サーバー」のようなものである。あるいは、情報を整理して視点を見つけるというのも、要するに「ソートする」ようなものである(「ソートをすると、いちばんマイナスだったものがプラスの先頭になったのです」)、とも言う。こんなふうに書いている。「視点を見つけ、持ち込む感覚を含めた整理術全般のノウハウを、僕もネットからずいぶん学びました」。しかし、考えてみれば例えば「フォルダ」もそうなのだけれど、もともとはリアルな世界の鞄や書類挟みといったもののアナロジーから,ネット世界は成り立っているはずだった。それが、ネット世界内での洗練を経て、逆にリアルな世界の原理を逆に教導しているというのだから面白い。
 いや、これはしかしひょっとすると、佐藤氏一人だけのことではなく、もっと広い範囲で起こっているのかも知れない。デジタルやネットでの流儀(そして、その根本は確かに情報の整理術なのだ)が、現実世界の整理術そして発想術を変えつつあるとしたら、それはとても興味深いことだ。

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