2008/07/16
60歳のLove Letter。
住友信託銀行は、毎年「夫から妻へ、妻から夫へ 60歳のラブレター」を募集している。8回目を迎えた今回は、1万通あまりの応募があったという。想定されるターゲット層に向けたプロモーションの一環だろうが、ハガキ1枚1枚にこめられた思いはそれとは別に感動的だ。
過去の作品をまとめた書籍も刊行されている。
結婚して1年ほどたった頃──彼女の誕生日だったろうか,それまでの感謝を表した私のメールに涙ぐんでいた姿を思い出した。(社会的にはほぼ無益なコピーライターのスキルが、こんなときに役に立つ・・・笑)。日常の会話ばかりでなく、ときにはしっかりとした言葉を贈るべきだと、ちょっと反省。
それでは、大賞を受賞された方のラヴレターを。9月14日、住友信託銀行とはとバスが共同開催する「愛妻サミットバスツアー」(10組20名を招待)の車内でも朗読されるという。泣けますよぉ。
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君にいいそびれていることがあるんだ。二人で六畳一間の生活を始めたころ、もう四十年も前だなあ。会社の悪友に帰り際、新婚は早く帰れ、と冷やかされ、意地を張って、何いってんだ、と、やせ我慢して一杯付き合っていた頃だ。ある朝、今日は早く帰るよ、といって出かけたものの、会社を出るころにはすっかり忘れ、またもや午前様。
で、部屋に帰ると、君は布団にもぐってた。目尻に涙の跡があったっけ。いつもは起きて待っているのにどうしたんだ、と少し怒っていった。そうしたら君は、ポソっと「今まで、ずっと駅で待ってたのよ」といって背を向けた。あっ、そうだ、しまった!と思ったけど、口から出たのは「バカ、会社に行けばいろいろある、何ふくれてるんだ!」とやってしまった。素直に謝れない、男の何かが邪魔したんだ。僕も青かったなあ。
今でもふとそのことを想いだし、君が、西武線の駅で、電車から次から次へ吐き出されてくる人たちの中から、たったひとり、この俺をずっと探していたのか、と思うと胸がツンとなって、ああ、あのとき、ぎゅっと抱きしめてあげればよかったのに、と、きまって切なくなるんだ。こんなこともう覚えてないだろうけどね。でもいつかそのことを謝ろうと思っていたんだよ。 ごめんね、千恵子。








四月の旅人


