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2008/12/09

指南役『「考え方」の考え方』

 世の中に、「発想法」「アイデア術」みたいな本はあまたあって、実はわりとそういう本は好きでよく読む。そういう本が面白いのは、変な精神論とか抽象論に陥らず、現場的かつ実践的な視点から書かれていることが多いからである。新しいアイデア、面白いアイデアを作るのは言うまでもなく簡単なことではなく、それでもそのようなアイデアを作り続けることが実務として必要な仕事というのは確かにある。そのように強制的にアイデアを作らなくてはならない環境になったらどうするか、そのようなことが縷々書いてある本は、やはりそれぞれの人なりの苦労や工夫の跡が伺われて面白い。
 で、この本だが、そのような数多いこの類の本の中でも、かなり良質な方ではないかと思った。勿論、世の中に数多ある発想法で既に繰り返されているような内容もある。曰く、逆転の発想が大切、とか、あるいはよいもの(本でも映画でも)に多く触れよ、とか、そのようなことだ。だが、そのようなもの以外にもなかなか鋭い指摘もあった。もっとも面白いと思ったのは、創造力とは「制約」があってこそ発揮される、という話。これは、佐藤雅彦氏の大学講義での実験で、学生に対してある「制約」を与えて面白いアイデアを考えろ、という指示をしたら面白いアイデアがいくつも出たのに、逆に「制約」なしに考えろ、と指示をしたら面白いアイデアが出てこなかった、という実例を元に紹介している。それ以外にもドラマや映画の設定などでもそうだが、確かにある「制約」があるからこそ、アイデアが面白くなるということはよくある。また、一行で説明できない企画はヒットしない、という話などもあってこれも言われて見ると確かにそうかも知れない。
 いずれにせよ、アイデアに煮詰まった時には、そのような方法論に立ち返ってふっと視線を変えることで打開することはあるだろう。そしてそのような発想法をきちんと整理してある本は、どこか気持ちよさがある。そう創造とはかなりの部分、マニュアル化できるところがあるのだ。この本では、こんなことも書いている。世の中にアイデアマンはいない、ただアイデアの作り方を知っている人がいるだけだ、と。あるいはもっと言えば、アイデアが次々浮かんでくる人などいない、ただそこには「メモ魔」がいるだけなのだ、と。
 とにかく、創造という行為を多くの人に開くという意味で、このような本にはとても好感を持っている。

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