2009/11/16
8:00am
昨日、マグダラの稽古場での最後の通し稽古があった。
傑作ができた。
この作品で、湯澤幸一郎くんの才能が花開いた、というと本人に失礼かもしれない。
才能はとっくに花開いてたんだ、あなたが気がつくのが遅かっただけだ、と言うだろう。
台本・演出・作詞・作曲・出演・写真撮影と一人6役も、いや、もうひとつ
佐藤くんがいつも抱きかかえているお人形のケルベロスも
湯澤くんがお裁縫の特技を生かし作り出したものだ。
ちなみに、佐藤くんが稽古中に大声をあげた、
なんとケルベロスの首がもげてしまった、
佐藤くん、おおごとだという表情、どうしよう、困った。
湯澤くん、平気な顔で、大丈夫縫いつければいいから、と言って、
稽古場の片隅、針と糸でさっそくお針子さんに変身した。
ものの5分もたたずに、ケルベロス、元の姿に戻った。
佐藤くん、ほっとした表情。
ケルベロスをしっかり抱きしめ、
もう2度と離さない、
という顔で頬ずりしていた。
余談だが、可愛い。
そもそも、少女にお人形というところまでは普通人の僕にも理解できる。
でも、あのデザインに行きつけるのは、異常なセンスだ。
やはり東北の詩人、寺山修司を思い出してしまう。
彼も湯澤くんのようにあらゆることができた。
僕が驚いたことを一つ言うと、
競馬を予言師のように呪術的な詩の世界で歌ったこと、
異能が世の中の最先端をあらぬ方向に突っ走った。
湯澤くんの美意識、
海底火山が爆発で隆起し、突如海面に姿を現した、
そんな風に、今までこの世の中に存在していないようなあらわれかたで、
彼の美意識が姿を現した。
これが「マリア・マグダレーナ」の根底にあるものだろう。
世の中がびっくりするのはまだ先になるかもしれない。
幸運なことに、僕はその爆発に付き添っていることができた。
このお芝居、観ないと損だ。
歴史的な事件に立ち会うチャンスを逃してしまうことになる。




片岡義朗

