2009/11/23
11:54 pm
「マグダラ」東京公演が終わった。
大部分のお客さまは喜んでくれたみたいだ。
役者たちは、みなそれぞれ何かしらテーマを見つけ、進化したように思える。
とくに若い俳優たちは、ベテラン3人組のこの1本の芝居の中での増殖ぶりを目の当たりにし、
刺激を受けたし、何をなすべきか、を学び実践に移していた。
その第一の問題は、若い俳優たちにとっては、まず、声を出す、ことだろう。
肺から出てきた空気がのどを通り口から体の外へ出てくるときに、
その空気の全部の量を声にする、これが難しいみたいだ。
思いっきり声を出す、その声をコントロールする、
大きな声で明瞭なセリフをしゃべることは、たぶん快感につながっていたはずだ。
若い俳優たちがそこに目覚めたように、僕には見受けられた。
津田くんは、ギャグで笑いがとれる役者になりたい、
というのをここのところのテーマにしているそうで、
「マグダラ」に出会えてよかった、と言っている。
十分にその目標をクリアしているしおつりが来ていると思う。
グレイスはもしかすると、津田くんの生涯の役柄になるかもしれない、
杉村春子の「女の一生」のように。
そうなるとマリアさんも生涯の共演者ということになるのだけれど。
テーマを見つけ、挑戦し、苦闘し、ものにし、習熟する、その中で次のテーマが見つかる。
このことの繰り返しが俳優だし、別に俳優だけでなく普通の人の普通の人生なのだろう。
マリアさんも特別な人生のように見えるけど、
彼女は、彼女が自分で決めた生き方に、
ただ誠実に従っているだけなのだと思う。
湯澤くんが、楽日の前日に、ふと漏らした言葉、
「頑張るのは、好きじゃない」
稽古場でやってきたことをそのままやればいい、
本番でもお互いにもうちょっといい方法が見つかったら、
それを絡んでいるメンバーで合わせてやればいい、
そういう基本動作はできたと思う。
東京千秋楽を終え、役者たちはみな次の神戸が楽しみだと言っている。
Kimeruくんだけは心臓が痛い、と言っていたけど、顔には笑顔があったし、
期待できる展開だ。




片岡義朗

