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2011/10/04

【本部当直】ストーリーとしての競争戦略/楠木建

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(この日記は、「本部」コミュニティ「本部当直」です。)

ストーリーとしての競争戦略ー優れた戦略の条件 楠木建(東洋経済新報社)

なんといいますかあまりにもお久しぶりですが、本部当直という企画を本部でやっておりまして、交代で読んだ本を紹介しておりました。kwだとちょっとマニアックすぎる/個人的感想に偏りすぎ/などなどでも、日記の枠内ならいいんじゃないか、という思いも私にとってはあったわけです。いつから書いてないかというと、もう1年以上も経っています。ここらでちょっと再開してみようかと。続くかはわかりませんが。

で、私がこの本を手にしたのは、実はタツミさんに貸して頂いたからです。それはいつかと言えば昨年12月、ってこれももうすぐ1年になってしまうのか、と時間の流れに驚愕です。それはともかく、この本は、ビジネス書です。著者はビジネススクールで教鞭を執っていますが、様々な人から聞くビジネス戦略の中で、直感的にわかる面白い!と思うものとそうでないものの違いを解説した本です。

ビジネス戦略と聞くと素人には、原価とか利益とか在庫管理とか、ITによって利益を最大化、とかいろいろ思ってしまうのですけど、著者が面白いと思う戦略とは「良いストーリー」である、と言い切っています。じゃあ、そのストーリーとは何なのか、ですが、ストーリーとは何かを説明するために、「ストーリーとは何でないか」をまず挙げるところから始めています。「アクションリスト」ではない、「法則」ではない、「テンプレート」ではない、等々。簡単に一言でまとめてしまうのが良いかはわかりませんが、著者の言うストーリーとは、企業の短期的な活動を時間軸に沿って動的につなぎ、全体としてどのようにアウトプットに繋げるか、その視点での戦略と理解しました。当然ながら、アウトプットには、より良い未来のビジョンがなければなりません。そのようなが良い(面白い)「ストーリー」とはどんなものか、事例によって解説されています。

そのような一貫したストーリーがあることが、事業を遂行する上での判断に一貫性を与え、事業に関わる社員が分業的ではなく全体の中の自分の位置づけを明確化できる、など、長期的な展望を持って進むことができる、というわけです。著者は慎重に、優れたストーリーがあるから事業が成功する(した)とは言っていません。成功事例の中に優れたストーリーを見た、その特徴を記述しているに過ぎないわけです。こう書くと否定しているようですが、そもそもの事業というのは、こんなことをしたい、というビジョンがあって始めるのが王道であって、そのビジョンを忘れてあっち行きこっち行きしていると前に進むもおぼつかないことになってしまいます。創業の志というものはあって然るべき、と思っているのですが、近年は短期の業績を確保することが至上命令で、数字でしか結果を判断できない・しない風潮に対するアンチテーゼなのかもしれません。商売は人が行うものであり、社内・社外ともに、そのストーリーに人が共感してうまくまわる。これは古いように見えるでしょうが、やっぱり商売の原則ではないかと思います。

この本は事業の戦略のストーリーなのですが、これは事業に限らないのではないか、と思っています。人は何のために生きるのか、というのは文字にすると大きなテーマですが、「○○になりたい」「○○を作ってみたい」「○○ができるようになってみたい」など、これらは仕事でも良いし趣味でもいいし家庭のことでも良い、いずれにしても何らかの実現したい目標を持っていると思います。それに向けて順番に何をしていくのか、そのものが「ストーリー」であり、それを持っているかどうかが、周囲の人や家族を巻き込んで実現できるかどうかに影響するでしょう。

この本を読んで思い出したことがひとつ。昔、河合隼雄さんの話を聞いたことがあります。その時に力説しておられたのが、「物語」の重要性でした。カウンセリングはクライアントが自分で自分の物語を作ることを助ける作業である、ということを力説しておられました。競争戦略としての「ストーリー」と一緒にすな!と河合氏に怒られるかもしれませんが、物語と通じるところがあると思います。目標に向かって継続して何かを行うため、あるいは、自分の今やっていることの意味を再確認するためには、「ストーリー」「物語」という視点が欠かせないのでしょう。

それは、我々がその瞬間だけを生きているのではなく、今の瞬間を迎えるためにはその前の時期があり、そして、その次にも新しいことがある。これらは全てがつながっていて、我々は、時間の流れの中を生きているに他ならないからなのです。たぶん。

コメント(1)

2011/10/08

ユーイチロー ”面白いと思う戦略とは「良いストーリー」である。” なるほど、と附に落ちました。 自身のプロダクトマーケティングの仕事と、Steve jobsの"Connecting the Dots" の話がこれで繋がりました。 リーダーとは"物語"を作り出せる人であり、その実現には沢山のフォロワーが必要で。ソーシャルメディアの時代には、ストーリーの重要性がますます高まっていくのだなと。

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