2011/11/05
霧ヶ峰を歩いて
またおぼろの光もて
森をも谷をも静かにつつみ、
つひには、わたしの心をも
おまへは、すっかり融かしてしまふ。
ー生田春月 訳詩集より
八ヶ岳山麓にある山荘での日常は、普段より、バタバタしているかもしれません。(笑)山荘暮らしの一日目は、雑用に追われて終わりました。ホコリだらけの屋内の掃除、庭に散った落葉や枯れ枝の片付け、そして、新しく、テレビを買い替えることになり、午後は町へ出ました。ちいさな田舎町の電器屋さんでは、テレビを買うと、アンテナの取り付けをサービスしてくれるというので、翌日に、工事を頼みました。店を出てから、つぎに、ホーム・センター、それから、役場へ向かいました。用足しを済ませてから、山荘へ戻ると、日も暮れてしまって・・・・・慣れない自動車の運転をして、疲れてしまったのか、馴染みの店に顔を出す気力も失せていたので、夕めしは、ふたたび車を走らせ、数キロ離れたコンビニで総菜や弁当を購いました。買ってきた総菜の味つけが濃いと、老父は、不満を口にしていましたが、なんとか、弁当を残さずに食べてくれました。台所の片付けを終えると、睡魔に襲われ、わたしは、寝室へ上がってゆきました・・・・
二日目は、約束していたので、午前中に、みんなを連れ、霧ヶ峰へ行きました。早朝だったから、店は開いていなかったのかもしれないけれど、霧ヶ峰には、ひとの姿はなく、静かな空気が流れていましたねぇ。夏は、車を止めることもできないほどに、車道は混んでいるのに、晴れた錦秋の山々を訪れるハイカーは少ないのかしらん?車を止めさせ、あちこちの角度から、父は、趣味のキャメラを使って、風景を撮るのを堪能したようでした。父が、写真を撮るのに忙しくしているのを幸いに、ちかくの小道を歩いたり、散策を半時間だけですが、楽しみました。車へ戻ると、老親たちの朝餉の時間が迫っています・・・コーヒーが飲みたいなぁ・・・と、あたりの店が、開いているか捜しましたが、どうやら、先月で営業を終えてしまったのか、開いている場所は見つかりませんでした。霧ケ峰高原では、コーヒーを飲むのは諦め、道を下って、白樺湖へ行けば、なにかあるかも・・・と淡い期待を抱きながら、白樺湖へ・・・・
山を下る車中、何度も、とまれっ!の声が発せられ、わたしは慌てて車を止めました。この数日、わたし達がいる間だけなのか、こちらの天候がよいので、キャメラ好きには、こたえられないのでしょうねぇ、父は、パシャ、パシャ、シャッターを動かすのに夢中でした。(笑)白樺湖に着くと、ここも、冬期にむかっての準備中なのでしょうねぇ、店は閉まっていましたし、宿にも灯りがみえませんでした。しかたなく、コーヒーは家で飲むか、午後のアンテナ作業が終わってから、小淵沢にある、品のよいマスターが営んでいる店へ連れてゆくという話しになり、山荘へ戻りました。朝食を兼ねた昼餉は、小屋のちかくで食べることになりました。母が気に入っている店で、クレープやらバーガーを味わって、食べ物の味にうるさい、ムズカシイ顔をする父もキゲンがよかったなぁ。(笑)
アンテナの取り付け作業は、二日目の午後に終わりました。さきに触れた、町の電器屋さんのセガレが、テレビを運んできてくれ、アンテナを設置してくれました。来年こそは、老人たちが数ヶ月は、山荘で暮らしてみたいと宣言しているので、なくしても見つかりやすい、おおきなリモコンのテレビを選びました。(笑)自宅では、いつも、リモコンがなくなり、大騒動が生じるので、わたしとしては、苦肉の策だったのだけれども・・・・(汗)あれはみられるのか、いつも、家では、この番組をみてるんだが・・オヤジの質問に、若い電器屋さんは丁寧に応じてくれました。言葉に、この辺りのクセがなかったので、あとで伺うと、ここを出て、福岡のほうで働いていていたこともあるそうな。二年まえに、家業を継ぐことにして、田舎へ戻ってきたといいます。わたしも知っている、神戸から引っ越してきたのだったか、山荘住まいの老紳士について、近況を伺いたかったけれど、町に、一軒の電器屋さんは忙しいのでしょうね、二代目さんは、工事が終わると帰ってしまいました。
午後は、私道から、公道へ車を動かしていて、車窓に浮かぶ山々が美しいのに、こころを奪われました。霧がない快晴の日には、山荘から、八ヶ岳を愛でることができます。数年まえは、八ヶ岳にトライしたり、山歩きを楽しんでいたのに、今年は、レイジーになっているのか、体力も落ちてしまったのでしょうか、山を登っていないなぁ・・・と思っていたら、はやく、行かないと、店が閉まってしまうヨ、と母の声が・・・・わが家からは、お気に入りのキャフェまで、車では一時間かなぁ?店は、初老のご夫婦が営んでいます。京都にある老舗のコーヒー店で働いていた、コーヒーに生涯を捧げたあるじが、隠居後に、山荘を改築して、店を開いたといいます。店のつくりも、コーヒーも、わたし達が好むもので、こちらへ来ると、ついつい、足を運んでしまいます。店に寄らないで帰ったということは、珍しいかもしれません。
やまに流れる空気、木々の触れ合う音、鳥の奏でる旋律・・・・山荘には、都会にないものが、たくさんありますねぇ。夕暮れになると、わたしには、ささやかな喜びが待ち遠しく感じられます。えっ、それは、なにかって?庭の借景にしている森を眺めながら、酒を愛でることです。ひとり、誰にも邪魔されず、マティーニでも、琥珀色の酒を舐めているときだけは、背負っている荷が、軽くなったような感じが、肉体に流れてゆきますねぇ。ここち良さと言えばいいのかしらん?嬉しいことに、この数日は、気温も暖かく、軽めのセーターだけでも、戸外では寒さを意識しません。・・・今夕も、おーい!の声が聞こえてくるまでは、わたしの自遊時間を味わえるかなぁ・・・あっ、そういえば、今朝は、温泉へ連れていてけといったっけ・・・ささやかな休日は、老いた両親の声とともに、動いてゆきます(^^;)
コメント(8)
2011/11/06
coupe男爵 暑すぎる晩秋も、週末の雨で落ち着きを取り戻しました。 この季節の霧ヶ峰、冬支度を急ぐ頃でしょうね。 昨夜は札幌から来られた友人と、六甲山に上がり、降りて来てからホテルのバアで飲みました。 刹那く美味し秋の酒。
たまる coupe男爵さん、おはようございます。ちょっとまえに帰宅しました。晩秋とは思えない暖かい空気が流れていますね。霧ヶ峰、閑散としていました。しかし、霧ヶ峰より、国道から眺めることのできる風景の「変貌」に驚きました。岡谷、下諏訪にいくつも点在する製造業の工場には活力すらありません・・・秋の酒も、また、よいですねぇ。ご友人との語らいが、今日を生きるこころの糧となったことを祈っています。先日、Coupe男爵さんの日記を拝読し、介護の難しさをあらためて痛感しました。わたしの日記にもあるように、わたし自身、Coupe男爵さんが日記に綴られていることは、他人事ではないからです。また、ゆっくり、拝読したいと願っております。ぜひ、ゆっくりした休日を御過ごしください。
2011/11/09
もえぎ すてきなお父様のお人柄が垣間見える文章で、微笑ましく拝読しました。暖かな日和と快晴の眺めの清清しさに、カメラを手に取る人の気持ちはよくよく理解できますので、たまるさんのお優しい対処で、お父様はきっと素晴らしい画像が残せたのでは。旧軽の別荘街でも、連休で訪れた方たちの庭から落ち葉掃きの音が林に響いておりました。森の馨り、鳥の歌、水音はほんとうに心地よいものですよね。たまるさんは、車の運転中はどんな音楽を聴かれているのか興味津々です。お父様のお好みに添われていらっしゃるのでしょうか?
たまる もえぎさん、お褒めの言葉をありがとうございます。(^0^)父も喜びそうです。色々なことに興味のあるひとですが、写真は、わたしが子供の頃も熱心でしたねぇ・・・撮ったものをみると、よい写真もあるし、フシギなのもあります。(笑)自分のPCや、父がいつも持っているiPadでも遊んでいるようです。山荘は、やはり、夏と雪の季節がよいかもしれません・・・あちらでは、水道の水抜きや、冷蔵庫の片付けなど、面倒な作業もありますが・・・運転中は、父のリクエストで、落語を楽しんでいますし、ほかに、むかしのOld Vic Theatre でのライブ録音なのか、ギールグッドやアレック・ギネスのシェイクピア劇、それに、ジュヴェが舞台で出していたモリエールのコメディを聞きました・・・ただ、やっぱり、オヤジは、落語かなぁ・・・八代目の文楽がお気に入りです(^^)ゆっくりした夜を!
2011/12/02
oyaoya(Nicola♪) とても行きたい場所です。いつか「夢」にまで見ました。
2011/12/03
coupe男爵 その後11月の半ばには、私は息子と、野麦峠まで、車で上がったのでした。「お助け小屋」も今年は雪にならないので営業中でした。女工さんたちが通った岡谷、下諏訪への寂しい路、唐松の落葉でしょうか、アスファルトに臙脂色が映えて美しいと、しきりに長男が感心していました。
たまる oyaoyaさん、はじめまして🎶冬はとっても寒い場所ですねぇ・・・・今頃は、雪もチラツイているかもしれません。また、あちらへ行ったら、ご報告いたします。ありがとうございます。
たまる coupe男爵さん、こんにちは🎶ご子息との旅日記、羽田からの帰り道に拝読しました。今朝、早朝にパリから帰りましたが、疲れました。今夕には、備忘録に雑感を記せればよいのですが...とても疲れる旅でした。息子さん、お父さんとの旅で、さまざまな土地をみて見聞を広げていらっしゃるような印象を抱きました。よい一日を!













