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2005/12/01

東京タワーを読みました

東京タワー~オカンとボクと、時々、オトン
リリー・フランキー著(扶桑社) 1575円

ずっとベストセラーランキングに入ってるし、
いろんな書評でも取り上げているので今更とお思いの方もいるでしょう。
ですが、ココは私の勝手な空間なので勝手に感想を垂れ流します。

そもそもは親子の泣けるシナリオを書く仕事をしていて、向田邦子なんかを一通り読み返している頃に気になって購入したものです。一ヶ月くらい放置プレイした後にやっと読み始めました。
リリーさんについては、
・おでんくん
・よくSPAなどでアイドルについて語っている。
・たまにクドカンと混同してしまう。
・イケメンではないが、友達になりたくなる外見。
くらいの基礎知識しかありませんでした。リリーさんの書かれた記事はいつも軽妙で読みやすく、文章のうまい人だと思っていたのですが・・・失礼を承知で言います。ホントうまいですね。プロに向かってうまいとか言うあたりからもう間違った感想ですが、前半に登場する子供の頃の描写は、小2の男児が大人の文章力をもって空き地でジャポニカ学習帳に書いたのかと思えるほど生き生きしていて、トロッコから飛び降りる肝試しのくだりは読みながら頭の中で映像化できるくらい臨場感ある。
時折大人のリリーさんが顔を出して、子供のボクと若いオカンを大人の目線で記録する。その繰り返しで、読んでいる私がボクと同化するくらい感情移入したころに、ストーリーの後半にさしかかるんです。
すごく悲しい。悲しいし、東京タワーが余計にキラキラして見えるのは私がリリーさんと同じくらいの田舎者だからでしょうか。東京育ちだと、どうなんだろう。

最近気づいたんだけど、田舎で人が死ぬと、そんなに悲しく思わないんです。祖父母は私が物心つく頃にはもう結構な高齢で、かわいがってもらった記憶はあるけど人対人として対話する前に亡くなっちゃった気がします。内孫じゃなかったので、なかなか会えなかったし。
よぼよぼだった祖父がある日亡くなったという連絡がきて、初盆に帰省してみると墓石の裏に新しく彫った祖父の名前が加わっている。祖父はいない。親戚や近所の人がたくさん集まって、座敷に机という机を並べ、その上を料理で埋め尽くし、みんな酒を飲み、女たちはせわしなく台所と座敷を往復する。だれも悲しんでいない。祖父は行くべきところに行っただけだから。ちょうど月が沈んだみたいに。そしてそれは月が昇った時からわかっていたことなのだ。
私の両親はまだ健在だから、両親を亡くす時の感情は全く別なのかもしれない。もちろん想像もつかない。でも、二人ともしっかりと歳を取ることを受け入れているかのように見えるなあ。本当のところはどうなんだろう。
田舎で人が死ぬと、その人はいなくなるけど、海やその辺の草花になる感じがする。戻るべき姿になっただけで、いつでもそこにいて、また返ってきて会える、と思う。
ただ、都会で人が死ぬと、異様に悲しい。その人がいた体積の分だけブラックホールみたいに、中島みゆきの歌う永久欠番みたいに、絶対埋められないし、埋まらない穴が開いてしまう。
帰るところがないからかな。人が戻れる海やその辺の草花がないから、人の形をしなくなったものがいる場所が都会にはない。都会の人は死んだらどこに行ってしまうんだろう。寂しいだろうな。

きのう、仕事仲間の奥さんが亡くなったそうです。
歳は私の5つ上だったそうです。
明日お通夜に行きます。喪主である彼がものすごく奥さんのことを愛していたことを、誰もがよく知っている。奥さんにお会いしたことはないけれど、いたたまれないくらい切ないです。

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  • 2006/01/02更新
  • 2004/12/06登録
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