姨捨山 長楽寺
姨捨の 田毎に月を 配りけり 臥雲
暗くなり始めたので「芦の尻道祖神」を観て帰ろうとしたら、知人がどうせなら姨捨山に行きたいと言い出した。二日遅れだが、仲秋の名月を観たいと言う。そこで麻績まで降りて再び聖高原まで登り、其処からまた下って姨捨まで行った。棚田から善光寺平までを一望できる展望台に案内してから、長楽寺に車を駐める。夜の風がもう冷たい季節になっていた。「姥岩」に登った知人は手にしたニコンF5を片時も放さず、月が出るのを待っている。この三連休には観月会が開かれ、向かいの「楽月庵」がその会場になるのだが、暫くすると観光バスが何台もやって来て、句会に参加するのだろう老若男女を大量に吐き出して行った。知人を置き去りにして階段を降り、長楽寺の今は改修工事を行っている御堂に向かう。巨大な「姥岩」の下には幾つもの風化した句碑が並び、月見堂とその周辺にはライトアップ用の照明装置が何台も据え付けられていた。暫くすると陽が落ちて、眼下の千曲川の流れが判別できなくなった。北に長く伸びる善光寺平に灯りの群れが輝き始めた頃、山の向こうに月が出た。実に朗らかな、大きな月だった。
さざれなる 岩にも夜半の 道しるべ
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