「Modern Art in Wande」ings: In Between the Japanese- and Western-Style Paintings
「揺らぐ近代 日本画と洋画のはざまに」/ 東京国立近代美術館
日本の近代美術の曙について、日本画と洋画の共存の不思議さをあらためて検証する展覧会が12/24まで東近美にて開催されています。(年明けに京都に巡回)椹木野衣氏は「日本・現代・美術」/ 新潮社 (1997)にて「悪い場所」と日本の宙づり状態をよびましたが…今回は「揺らぐ近代」です。
日本画と洋画についての問題は、いままでも随分と問われていましたが、今回の展覧会は日本に「美術」という概念が輸入された明治に遡ってからの時系列ではなく、それらふたつの画材を横断する作家たちのはざまの状態にあえてフォーカスをあてる、とても前向きな展覧会のようです。
出品作品はどれもなんだかおかしな和洋折衷で、それはそれで当時の画家達の機運が伝わってくるようで説得力がありました。日本画材で洋風の画題が描かれていたり、油絵で描かれた屏風だったり…今見るとどれもこれも嘘臭くてマンガのようですが、これを現代に当てはめると、ジャスミンティーを飲みながらお煎餅をぱくつき、スウェーデンの家具でくつろぎながら、南米文学を読んだりする…ようなことが特におかしなことではない、日本の日常があるわけです。あらためて誰も疑問にしない。
若い頃、好きな人のために一生懸命似合わない服を着たり髪型を変えたり、誰もがそんな経験があると思いますが、歳をとってからその頃の写真を何か偶然に発見したりすると、「あちゃー」という恥ずかしさでまともに見ることが出来ません… 何故なら、発展途上で自己が不確か、「揺れている」状態だからです。今回の、出品作品もまさにそんな日本美術の状況がありありと伝わってくるのです。
近代を読み直すことは意義があることですし、歴史は常に上書きされているとは思うのですが…美術の一形式である(にすぎない)絵画にだけ言及していても勿論答えはでる筈ありません。大切なのは「悪い場所」からの脱出ではなく、いかに「良い場所」に変えてくことができるのか…可能性を探ること、前を(未来を)見通していくことではないかと思います。そのために、「あの頃は頑張ってたな…」という過去を羞恥心から目を背けることなく、きちんと対面することが必要なのでは、と思いました。
それはそうと狩野芳崖による「悲母観音」(1888 / 東京藝術大学蔵)になんだかとても心奪われててしまい、何度も展示会場をいったりきたりしてしまいました。12/3までの展示だそうです。基本が日本画の手法でその平面性の中にグラデーションやパースペクティブが融合したその画面は、なんだかとても宇宙的(!?)だと感じました。お蔵出的なレアな一品が沢山…! もし興味をお持ちの方いらしましたら、ぜひ是非いってみて下さい。
東京国立近代美術館 2006年11月7日(火)~12月24日(日)
http://www.momat.go.jp/Honkan/...
<巡回予定>
京都国立近代美術館 2007年1月10日(水)~2月25日(日)
<追記>2008.7.2
今更ですが、こんな企画があったようです
「シンポジウム「揺らぐ近代 日本画と洋画のはざまに」のために」電子メール討論会
http://www.momak.go.jp/Japanese/...
- 2006/11/20更新
- 2006/11/19登録
- 2492クリック
「「揺らぐ近代 日本画と洋画のはざまに」/ 東京国立近代美術館」を検索
このキーワードを共有する
-
メイン
コメント (6)
最新コメント5件
2006/11/20
プーク あぶりこさん、コメント有難うございます。すみません、コメント頂いた後に文章を書き直してしまいました。最初のものだと、否定も肯定もないようなあやふやな内容だったため、少し前向きな要素を強くしました。そうですね、明治維新の頃の日本についての言及は様々な視点でなされていると思いますが、少なくともこの展覧会はかなり前向きだったと思います!高橋由一の作品はスケッチなども含めいくつかありましたがとても素敵でした。京都しか出品しない作品もあるそうです、是非いかれるとよいと思います!
2006/11/24
空腹ライフセーバー これ、今年のベスト展覧会と思います。残念ながらお客さんの入りが悪いですが、そのぶん、行った人は見放題(笑)。
洋画と日本画のあいだに、なぜか漫画的表現がかいま見れるのも歴史的に興味深いですよねえ。悲母観音なんて、大友克洋以降のサイバーSF劇画のようです。
2006/11/25
プーク 空腹ライフセーバーさん!コメント有難うございます。そうですね、私が行った時も観覧者は少なかったです…ちらしのあの「道真天拝山祈祷の図」からしてもう漫画すぎるくらい漫画的表現なので、みなさん引いてしまうのでしょうか。「悲母観音」は実際に見たのは初めてですが、これはちょっと凄いですよね…かつて出会ったことがない感覚(絵画)でした。ほんと、ここで見ないのは勿体ないと思います。
2006/12/26
5e 最終日拝見。悲母観音ありました。
プーク 5eさん、コメント有難うございます。そうですか、、悲母観音、後期も展示されていたのですね!ここではhttp://www.momat.go.jp/Honkan/... 前期のみと掲載されていたものですから…失礼しました。でもご覧になられて良かったですね。
- すべてのコメント »
つながりキーワード (7)
丸井金猊
- (M類)
日本画家・丸井金猊(1909~1979年・愛知県一宮市出身)。 東京美術学校(同期には杉山寧、川本末雄氏)在学中から頭角を現し、1930(昭和5)年20歳で国際美術協会主...
『アートで候。会田誠・山口晃 展』
- (空腹ライフセーバー)
激しく会場との違和感を感じた。会場の、施設の古さ、に。 なにも自分はいつも小奇麗な施設でしか美術鑑賞をしない、というわけでもない。六本木に行ったことはないし、木場は一回...
日本・現代・美術
- (りらん)
椹木野衣(さわらぎ・のい) 美術評論家。パンク、テクノポップなどの70年代後半以降のサブカルチャーから多大な影響を受ける。美術手帖編集部を経て、「シミュレーショニズム」でデビュー。レントゲン...
明治30年に初めて訪日してから全5度、滞日10余年。日本美術に魅せられ、ケルンに東洋美術館を建てることを夢見て、夫アドルフと共に精力的に日本文化に触れ、日本の美術家達との...
大いなる遺産 美の伝統展
- (イロはにほへと)
東京美術倶楽部で開催されている、「大いなる遺産 美の伝統展」をあなどるなかれ! 明治以降の美術界の巨匠たちの作品を一堂に並べた、圧巻といえる展覧会です。 これに源氏物...
黒田清輝、岸田劉生の時代 -コレクションにみる明治・大正の画家たち
- (空腹ライフセーバー)
1)銀座である。白昼堂々である。 ギャラリーの、通りに面した壁に磔にされた絵の、女のこの色気は何だ! 黒田清輝は危険!真の芸術家にして性の蒐集家!チョイワルじゃなくて極...
速水御舟
- (lysander)
10/24 に千鳥ヶ淵のそばにある山種美術館で、速水御舟の展覧会を 観てきました。 速水御舟(1894-1935)は明治から昭和にかけて活躍した日本画家 です。切手にもなった『炎舞』で名前...
トラックバック (1)
「揺らぐ近代」最終日
- 秋華洞・丁稚ログ | Tracked: 06.12.25 1:11 am
「揺らぐ近代 日本画と洋画のはざまに」展を竹橋の東京国立近代美術館に見に行きました。 WEB 動画「http://blog.so-net.ne.jp/...」の検索結果0件WE...
- トラックバックURL
- http://www.kanshin.com/tb/keyword-1049206







『アートで候。会田誠...
黒田清輝、岸田劉生の...


