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80年代地下文化論講義

宮沢章夫さんはこの講義を「かっこいい」というキーワードから語りはじめた。
批評言語には絶対登場しない「かっこいい」という曖昧な言葉をあえて使ったのは、宮沢さんらしい戦略だと思う。

原宿にあった日本初のクラブ『ピテカントロプス・エレクトス(通称ピテカン)』を嫌悪していた、あるいは遅れてしまった人たちのルサンチマンが、2000年代に「六本木ヒルズ的なもの」を生んだという観点は、レトリカルだけどなるほどと思うところもある。
レトリカルといえば、宮沢さんは、六本木のWAVEを潰した跡にヒルズが建ったことを「WAVE=波がなくなりヒルズ=丘になった」と書いていて、「ニューウェーブ」が死語となって久しい現在、波ではなく丘に登りたがる保守化する社会を言い当てている。
日本の文化は80年代をピークに停滞していて「2000年代は80年代のたちの悪い反復だ」と言う人もいるが、80年代にあったモノ(音楽でもマンガでもクラブでも)を個々の現象として反復するのは可能でも、80年代全体に流れていた変化の「波」は反復出来ていない。
丘(ヒルズ)の上に登りたがる人たちに「波」を起こせと言っても無駄かも知れない。
合理性や経済性から抜けおちたピテカンに象徴される不合理で非経済的な「かっこいい」ものは丘ではなく波打つ浜辺にあるのだろう。

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ミノル
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