マリリン・マンソン / アンチクライスト・スーパースター
Marilin Manson / Antichrist Superstar
96年作品。デビュー以来カルト的人気を集めていた彼らが、遂にメインストリームを本格的に巻き込みはじめたセカンドアルバム。ビルボード初登場3位を記録し、アンチ・マリリン・マンソンを掲げるキリスト教団体・教育関係団体が現れ、社会現象にまで発展した彼ら。しかしその人気はキッズを中心に一般的に受け入れられ、アメリカを代表するバンドとなった。
89年マリリン・マンソンはマリリン・マンソン(vo:本名ブライアン・ワーナー)を中心に結成。メンバーの名前の由来が、全員過去に存在したスターと狂人の名前を掛け合わせたものであるというのは、人間は誰しも2面性を持ち合わせているという彼らのコンセプトの現れであった(例:マリリン・マンソンは女優マリリン・モンロ-と殺人鬼チャールズ・マンソンの合体名)。94年にトレント・レズナーの率いるナッシングレーベルと契約、彼の下で完全にその才能を開花させ『ポ-トレ-ト・オブ・アン・アメリカン・ファミリ-』をリリース、プロデュースはトレントが行った。そしてEP『スメルズ・ライク・チルドレン』をリリースし、幼児愛というタブーに触れ、全米に波紋を起こすことになる。
そう、彼らが表現しているのは、徹底的にアメリカのダークサイド部分であった。マンソン自身が味わった幼児虐待の事実や、キリスト教に対する不信感、トラウマの固まりだった彼が救われたのは他でもないミュージックの世界であった。デヴィッド・ボウイにKISS、ブラック・サバスにアイアン・メイデン彼は音楽を聴きあさった。そして、必然的にミュージシャンとしての道を歩むこととなったのだ。
『アンチクライスト・スーパースター』では1stにはなかった音楽実験が多くなされている。サウンド・プロダクトもそのヴィジュアルに負けないものとなり、ただのキワモノバンドではないことをはっきりと証明してみせたのだ。それは具体的にいうと、デジタルサウンドとパンクの融合が挙げられ、俗に言われるインダストリアル・ロックの部門に新風をもたらした。NINがその先駆者であるのは皆が知るところだが、さらにスピード感覚とライブ感覚を加味したのは彼らが最初だろう(注:ヨーロッパで活躍していたPIGやKMFDMはここではあえて述べない)。さらに、彼らはポップメロディのセンスにも長けており一般的に受ける要素もかなりのところあったと思う。ともかく、何か歯車ががっちりかみ合ったという感が強いこのアルバムが売れるのは当然だったといえる。
このバンドがキッズから火がついたのは偶然ではない。子供たちはアメリカのパラドックスをいち早く察知できる繊細な感覚を持っていた。共感できる部分を素直に形として表せるのもキッズだからこそだろう。
この後『メカニカル・アニマル』ではグラムロック的な要素を表現し、マリリン・マンソンは遂に世界的なビック・アーティストとなった。現在の活動はどうもコマーシャルになりすぎて、賛同しかねる部分も多いが、彼らを必要としている人間のためにもさらに度肝を抜く活動を期待している。尚、インダストリアル・パンクといえば僕は最近Hate Dept.というバンドでさらに衝撃を受けたので、マンソン初期にはまった方は是非そのバンドもチェックしていただければと思う。
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