ヤカンヒコウ
夜間飛行
サン=テグジュペリといえば、『星の王子さま』ですが、小説も素晴らしいと思います。
表題作の『夜間飛行』は、初期の航空機での危険に満ちた夜間飛行に携わる、英雄的な人物像を描いて、評価が高い作品です。
また、収録作品の 『南方郵便機』には、魅力と謎があって、惹きつけられます。
「水のように澄んだ空が星を浸し、星を現像していた。しばらくすると、夜が来た。サハラ砂漠は月光を浴びて、砂丘へと広がっていた。僕らの額の上にはものの形を示すというのではなしに、むしろそれを組み立てて、それぞれのものに優しさを添えてみせる月の光が射していた。」
という、『南方郵便機』の冒頭の文章が、とても好きです。
でも、飛行士のベルニスと逃避行する、ベルニスの幼ななじみで、人妻であるジュヌヴィエーヴのことが、どうも私にはよくわかりません。
「本物のセザンヌ以外、見たことも愛したこともない」生い立ち、というのが、具体的にイメージできなくて・・・。
とても裕福だけど、セザンヌ以前の、古い時代の美術品には、あまり関心がない女性ってことなのかなあ?
飛行機というと、当時の最先端なんでしょうに、飛行士ベルニスは、ペルシャ絨緞を、壁に、古い城館のタペストリーのように懸け、ろくに家具を置かず、まるで砂漠の隊商の天幕の中のように部屋をしつらえている。
あまり、近代的、機能的とは言えない好みです。
そして、彼の好み、生き方を、ジュヌヴィエーヴは否定します。
この葛藤が、破局につながっていくのですが・・。
※カバーの表紙絵は、宮崎駿監督が描いています。
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