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関容子「海老蔵そして團十郎」

 関容子による当代團十郎への聞き書き集。当代團十郎に自身のこと、父親の伝説の二枚目十一代目團十郎、そして息子の海老蔵について聞くことで、親子三代の姿が浮かび上がる。
 十一代目からの弟子や、周囲の人々のインタヴューで明かになるのは複雑な環境に生まれ、父の十一代目と息子の海老蔵という二人の神経質で不器用な天才に挟まれながらも、あくまでおおらかでほがらかな性格の團十郎の姿である。

 昔本屋で立ち読みしたが、いろいろ気になってたので、文庫になった機会に買って読んでみた。先代の十一代目が亡くなったのは、当代團十郎が19歳の頃だそうだ。実際に後見役として、演技の指導など團十郎の面倒を見たのは二代目松緑で、不器用な團十郎は踊りや演技すべてにおいて勘のいい故辰之助とくらべられたとのこと。やはり、團十郎も自分の口跡のことは気にしていて、笑うところじゃないところで笑われるのには気づいており、一生懸命練習したらしい。いまでも、難ありではあるものの演目によってはふてぶてしさが味になる。昔はもっとヒドかったのかもしれない。
 海老蔵は意外と理詰めでちょっとでもわからないところがあるとそこから進めなくなる融通の利かない神経質な性格のようだ。彼が芝居にあたり、先祖の書いたもの(特に最近では明治の劇聖九代目團十郎のもの)をずいぶんよく読んでいたのはしっていたが、奥村書店に一番の上得意といわれるほど本を買い込んでいたとは。意外と演技に関しては頭でっかちなぐらいなのかもしれない。
 本筋とは少し離れるが、若い頃の十一代目の相手役であった、女形の五代目我童についてのエピソードは昔の女形の情のこゆさをかんじさせ非常に面白かった。何でもこの女形、弟子によって斬殺された父の十二代目仁左衛門の刀疵や血のりの残る家に平気で住んでいたらしい。他にもいろいろと逸話の残るこの女形についてもっと知りたくなった。


 
 

関容子「海老蔵そして團十郎」

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Rume画像 投稿者:
Rume
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  • 文春文庫
  • 581円+税
  • 2007/01/12登録
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