遠き落日
渡辺淳一による野口英世伝記。本は1979年9月の作品。第14回吉川英治賞受賞作(1980年)。映画もある。
よく知られた伝記に新たな調査による渡辺淳一の解釈が加えられている。特に、あまり触れられていない若き日の遊郭通いの話などは、作家のその方面の造詣の深さからくるものだろうか。
また、日本で最初にペスト感染者を診断したとされるのは、疑っただけで最終的に顕微鏡で診断したのは、北里柴三郎であるとか、メアリーとの結婚生活についてなど、いろいろ美化されてきた伝記を修正する部分もあるが、全体的にはあたたかく見守っているような観点から書かれていると思う。解説にもある”愛情をこめた偶像破壊”だろう。
落日には、研究でおもむいたアクラでなくなったということだけでなく、研究自体の意義が失われたという二重の意味が含められている。
- 2007/02/03更新
- 2007/02/02登録
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