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パリでひとりぼっち (Tout seul a Paris)

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小説の形をとった20世紀初頭のフランス案内。
人間喜劇に出てくるヴォートランを思わせる(ちょっと言いすぎか)、テナルディエ、
ボエームのミミかのように可憐で明るくたくましい売春婦のベルト。
きっと19世紀や20世紀のフランス文学には、こんな登場人物がいたのだろう。
リセの学費が払えなくなって追い出されたジャポネ(日本人)のコマキ少年。
バカロレアに備えるための受験私塾の傭兵(つまりはサクラ)になるべく入学試験を受けたり、テナルディエの斡旋する肉体労働をしたりと、
「パリで無一文でひとりぼっち」で生きていこうと決意する。
そして拾った子猫と生活するために、中心街の「l`Hotel」はあきらめ、
13区の「ゾーン」にまで足を伸ばす。

パリはルーブルのある1区から、時計回りの渦巻状に1区2区・・と数えていく。
現在もアジア系移民が多い13区は、19世紀半ばから中国人が移民として住み始め、
反政府主義者やアーティストなどが住む地域になったという。
結局、彼が「ひとりぼっち」だったのは、彼の保証人がバカンスから帰ってくるまでの
9日間のことではあるのだが、小説というよりも純粋に20世紀初頭のパリの光景として
面白い読みものである。
明治時代には、政治家などの出来の悪い子息が、
「留学」と称してパリに滞在していたというから、コマキ少年のように
留学中に親が破産して、日本に帰国しようにも金がないということもあったのかもしれない。

コマキ少年のモデルは小牧近江氏との記述が、「鹿島茂教授の仕事部屋」にあった。
小牧近江氏の名前になかなかピンと来なかったが、「ふらんす革命夜話」を書かれた方というくだりでやっと思い出した。



パリでひとりぼっち

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投稿者:
blanche
  • 2007/01/28登録
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