「日本美術が笑う:縄文から20世紀初頭まで」「笑い展:現代アートにみる「おかしみ」の事情」/ 森美術館
5/6まで、森美術館にてふたつの「笑い」をテーマにした展覧会が開催されています。日本美術を集めたものと現代美術。ひとつのチケットで両展を鑑賞できるのですが、ふたつの順序が問題なのです。
最初に訪れるのは日本美術にみる笑いの表現…黒い壁の展示空間にニッコリ笑顔の埴輪や土偶が浮かび上がります。そして絵巻や禅画、仏像に見られるシンプルな笑顔のオンパレード。日本美術のプリミティブな「笑い」の表現は、その人間の本能のようなものが表されていて、鑑賞していてとても気持ちのよいものでした。笑顔は本当につられてしまう。ついつい、一緒に笑ってしまうのです。個人的に最高、だと思ったのは宗達の子犬…この子には参りました(笑)
一方、現代美術によるアプローチは、「笑い」とはどういうことかという言及に終始していて、頭で面白いなと思っても笑えないものでした。ああ、こういう「笑い」もあるんだなあとか、時代や人種や宗教によってこんなに「笑い」の価値観が違うのだなあとか興味深く考えさせられるのですが、楽しい気分にはなりません。好みの問題なのかもしれませんが、無邪気ににっこりした後に「う~ん」と考えさせられて出口を後にするのはどうかなと… 個人的な感想としては、先に現代美術の方を見てから、日本美術の方を逆流するのがお勧め鑑賞法です。
笑いには、確かに様々な種類の笑いがあって…微笑、冷笑、苦笑、照れ笑い、泣き笑い、思い出し笑い…等々。喜怒哀楽のすべてが「笑い」に実は含まれているから、人間は「笑い」という行為にこんなに敏感なのでしょうか。沈む三日月さえ、笑った口に見立てるし、視覚のしっかりしない赤ちゃんが母親の笑顔に反応したりする。本能的に、生きるのに必要なのは「笑顔だ」と知っているかのようです。同時に、コミュニケーションの手段として人間は多様な「笑い」を理性で使い分ける…
生きていくのに「笑い」の本能と理性と必要なのだったら、私は前者の「笑い」さえあればいい、と思いました。無垢な笑顔は、私達を果てしなく幸福感へといざなう…それは、美しい一枚の絵を鑑賞するのと同じこと。思考を解放し感性を外部にゆだねることと、一緒なのではないかと。
出品作品は、日本美術のほうも現代美術のほうもツボが押さえてあり、コアなファンの期待を裏切らない秀逸な展覧会だと思います。ですが、いつにもまして美術の表現そのものより、展覧会のテーマ(「笑い」)に関して思いを巡らさせられる両展でした。
森美術館 六本木ヒルズ森タワー53階
2007年1/27(土)‐ 5/6(日)
日本美術が笑う:縄文から20世紀初頭まで
http://www.mori.art.museum/html/...
笑い展:現代アートにみる「おかしみ」の事情
http://www.mori.art.museum/html/...
- 2007/02/03更新
- 2007/02/03登録
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2007/02/04
拾得 間違いなく現代は病んでいます。
古典の存在意義がそこにもありますね。
でも誰にもオオモトの氣に通じる扉は開かれています。
希望ですが、、、、、
プーク 現代が病んでいるかどうかは、私のような若輩者には判断つきかねますし、自身が置かれている状況を常に俯瞰で見ることが出来るかどうかは(人間にとって)永遠の命題だとも思います。日本美術の方に、数人の作家によって描かれていた「寒山拾得図」が出品されていました。あの意味深な笑みは、現代の我々が鑑賞するからこそ(仰るような)古典としての存在意義があるのかもしれません…ですが描かれた当時は別の意味(別の価値)があったのかもとも思います。過去があるから、現代や未来(希望)がある、…ということを常に意識していなければならないなと、そんなことを考えました。
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