スライ・アンド・ザ・ファミリー・ストーン / ゼアーズ・ア・ライオット・ゴーイン・オン
Sly & The Family Stone / There's a Riot Goin' On
71年作品。日本盤タイトルは『暴動』。スライが前2作とは一転して冷ややかに黒人社会と白人社会の現状を見据えた厳しいアルバムだ。この時にまだ生まれていなかった僕が今聴いても、このビートは重く圧し掛かり、僕の中で困惑とクールさを増大させる。ロック、ソウル、ファンク、ブルースを融合させた天才は時を超えて今もサインを送っているようだ。
元々プリンスの大ファンだった僕が、「『サイン・オブ・ザ・タイム』はスライの『暴動』へのアンサーアルバムなんだよ」と聞かされ、急いでCD店舗に走ったのを今でもよく憶えている。僕は当時人間不信ではないが、少し冷めた子供だった。部活の帰りにカラオケに行くのを断り、お昼の食費を削ってはCDを買いに行っていた。そして、音楽雑誌を立ち読みしては、情報収集して、次は何を買おうか考えていたものだ。「友達との喋りは何かにつけて気を遣って面倒だ、そのくせ裏切ったりもする。でも、音楽は僕を裏切らない。」今にして思えば、人の持つ2面性を何かにつけてみてしまった嫌な時期だった。でも、僕は音楽という趣味を持っていたのでそこで夢を見て、楽しく毎日を無難にこなしていたのだ。だが、スライは白人社会に裏切られ、陽気に笑ってはいなかった。
ニクソン政権はことごとく辛い政策を黒人社会にもたらした。それは、カンボジアでの虐殺、不当雇用による黒人街のスラム化、ドラックの低年齢層えの浸透、黒人公民権運動への圧制と数えたらきりがない。そんな中、スライは音楽で結ばれていたとアメリカの白人と黒人を「ただの幻想さ」と受け取り、シニカルに音楽製作に向かったのだ。そして、出来上がった『暴動』は怒りをそのまま出し、ストイックに音楽を追求したアルバムになっている。「ラニン・アウェイ」(#11)や「ラブン・ヘイト」(#01)などポップな曲でさえ歌詞はかなり物悲しく、怒りに溢れて世をすねている。音楽的にはベース主体のファンクビート、エレクトリック・ピアノ、そしてロックンロールが全力で詰まっているが開放感は音に集約され歌詞は内紛を起こしている。「ひねくれてみただけさ、どうせ世を捨てては生きていけない…。」悲しすぎるアルバムだが、メッセージは嫌というほど僕に伝わってきた。そしてこの後、突然復活したり、外部ミュージシャンとコラボしたりして「音楽」に望みを繋いだスライは最後に世捨て人のようにシーンから姿を消してしまう。しかし、この作品の影響力は計り知れず、今もって、僕らに伝えるメッセージを含んでいたのだ。
『暴動』は本当にカッコいいアルバムだ。平和を語るにふさわしく、人間の心理をついた抒情詩だ。僕は今も彼のサインをしっかり受け取れる人間にならねばとふと思ったりすることがあるのだ。
- 価格: 1553円
- メーカー: エピックソニー
- 年(代): 1971年
- 団体名: スライ・アンド・ザ・ファミリー・ストーンズ
- 2002/05/27更新
- 2002/05/26登録
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コメント (7)
最新コメント5件
2002/05/27
wesson このアルバム、静電気防止スプレーと間違えてアイロンのりを吹きつけてダメにしてしまいました。好きだったのに...。
less 感想ありがとうございます。確かに『フレッシュ』もいいんですが、個人的な思い入れでこっちにしました。アイロン糊は…。僕も気をつけないと。
プラ・ヤギ 「ラニン・アウェイ」は確かにポップなんだけど詞が辛辣なんですよね。
プラ・ヤギ ↑故に物悲しい想いが歌に詰まってて・・
less そう、なんともいえない気分になっちゃいますよね。念が伝わってきて、そして僕はこれからどうしたらいいんだろう?と考えてしまいます。でも曲調はすばらしくポップなんですよ!!
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