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歌舞伎ナビ (カブキナビ)

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 歌舞伎の舞台評ではおそらく現在もっとも影響力があると思われる歌舞伎研究家、渡辺保が書いた、歌舞伎の鑑賞のポイントについて取りあげた歌舞伎入門書。

 「歌舞伎は確かにかつては「慰み」であり、大衆劇だった。だから多くの通人がいた。しかしそれは江戸時代の話です。今は、歌舞伎は「慰み」でも大衆劇でもありません。遠い時代に生まれて、今日まで伝承されてきた古典劇です。古典劇を見るには、ただぼんやりとみてわかりやすいということはないはずです。」

 この本で取りあげている演目は「寺子屋」、「忠臣蔵」、「妹背山」、「助六」、「勧進帳」、「髪結新三」、「切られ与三」、「弁天小僧」、「鏡獅子」、「娘道成寺」。時代物、十八番物、世話物、所作事と、数はさほど多くはないものの、過去の名優の写真を元に歌舞伎の型から深く掘り下げて歌舞伎の見方を解説している。無駄に細かい知識を増やすのではなく、色々な型や役者の例を取り上げた上で、あくまでも見方を解説するのが、この本のポイントです。 今まで何度も舞台で見た演目でも、見落とした部分や、鑑賞の浅かった部分などに気づかされ、目からウロコである。、また、この本は演目ひとつひとつの演技のポイントについて語る中で、歌舞伎の鑑賞に使われる用語が平明に解説されており、歌舞伎の鑑賞のための用語を具体例から学べるという意味でも非常に役に立つ。

 さて、歌舞伎の鑑賞のポイントとは何か?渡辺保にとっては、まず一つは型であり、次に役を演ずる上での肚(ハラ)(役を演ずる上での気の持ち方)であろう。そしてもう一つは仁(ニン)(役の持つ性格と役者の性格の相性)である。
 歌舞伎というのは、近代の心理主義の演劇とはきっぱり縁を切っており、むしろ形に心理が付いてくるような演技形式なのである。そうした解説が納得のいくように、非常に明快に述べられているのは痛快ですらある。
 但し、この本はソフトカヴァーで手に取りやすい装丁ではあるものの、いかんせん価格が高すぎる。これでは、歌舞伎をはじめてみようとする人は買おうとは思わないのではなかろうか。しかし、内容的にはお勧めです。(あと、この本で直接名前は出していないものの、悪い例として挙げられている演じ方をしている役者さんは、舞台を見ているうちにわかってくるはずです。)

 唯一つだけこの本の中には大きな不満があります。現代を代表する弁慶役者を三人あげて、段四郎(ニンに合う)、海老蔵(大器)、三津五郎(テクニック)には異議ありです。なぜ吉右衛門(セリフ)がいないのだ!(段四郎は見たことないからなんともいえないが。)

型について
「...このセリフは自分で言う人、竹本に語らせて思い入れをする人、役者によってさまざまなやり方があります。歌舞伎では、そのやり方を「型」といいます。型を演出といえばわかりやすいのですが、正確とは言えません。型は役者個人の生理的なもので、演出のように舞台全体のイメージを決定するものではありませんし、もっと様式性の強い面をもっています。普通の日常的な芝居から非日常的な芝居になるときに型が生きるのです」p.30

「歌舞伎では内面の心理よりも、まず身体のイメージが先行するのです。」

「体の崩れは、すなわち内面の動揺をあらわします。歌舞伎には心理描写といったものが存在しませんから、全て肚は、体全体の動きとの関係で表現されます。」

「型は透明なものです。動作の段取りだけではない。透明な試験紙を通ることによって、何かが生まれる。これはただ守るということとは違います。」

台詞回し
「そう、セリフは意味も大切ですが、意味が通ればいいというものではありません。味わうことが大切でその結果、なんだか言っていることはわからないが、無性に気持ちよくなる、そういうことでいいのです。もう一つは呼吸の緩急です。これがないと感情が伝わりません。言っている意味はわからなくとも、その人間の気持ちがわからなければ困ります。...矛盾しているようですが、言葉を使いながら、ことばの意味の回路を越えて、ということは言葉の機能を無視してということになりますが、気持ちを伝える。これが歌舞伎のセリフ術のポイントです。」


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Rume
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  • マガジンハウス
  • 価格: ¥ 3,675
  • 2007/03/03更新
  • 2007/02/27登録
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コメント (2)

2007/02/27

けこ 観始めた頃の自分が、「形が心理に付いてくるような演技形式」って説明を必要としていた気がします。そういうのを自分で気づくのも面白いけど、こういうので後押ししてもらうとその後が楽しみ易くていいですよね。欲しいけど…高い…まずは書店でチェックしてみます。

2007/02/28

Rume  私はさすがにこれは、古書で買いました。(2400円ぐらい?)で、まだ読み途中なのにkwにしてしまったので、内容は書き換えていくとは思いますが、入門書の類では型をもっとも重要視している解説書です。ただ、渡辺保さんの歌舞伎評にはたまに納得しかねる部分もありますが。(海老蔵についてなど)

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