空中ブランコ
誰しもが抱えてもおかしくないストレスに悩む患者が精神科医・伊良部を訪れ元気を取り戻すお話。5人の患者が登場するが謎の注射とともに治療法の根本はみな同じ。
空中ブランコ乗りは、本当は人恋しいくせに自分が閉じていることによってうまくいかないということに気付かされる。
先端恐怖症のやくざは、いつも周りから恐れられる存在であろうとすることで、それを保つために虚勢をはることによって自分を苦しめているということに気付く。
その他、コントロールが悪くなった野球選手、義父に気を遣い窮屈な思いをする大病院の息子、作品が書けずに嘔吐を繰り返す女性作家が登場。
いずれの人もその世界ではある程度の立場というか地位があるのだが、様々なことに目をきらきらさせてふとした問いを投げかけてくる伊良部の前だけでは本当の自分にならざるを得なくなってしまう。
時にはサーカスの練習に毎日現われ、自前の豹柄のレオタードを着用して巨体を揺らしながら空中ブランコにも乗るし、やくざの呼び出しにもついていっちゃうし、これまた自前の野球のユニフォーム用意して試合にも出ちゃうし、公共物への落書きそそのかして子供みたいないたずらしちゃうし、小説まで書いちゃう。
最初はみんなあきれるのだが、次第にその言動に癒されていく。
どれだけ無心でいられるということが大事かがよくわかる。
大人になると時にはどうでもよいプライドなんかが邪魔をしていろいろ考えて苦しくなっちゃうけど、こういう風に考えたりふるまえたらとちょっとは人間関係が楽になれるのかもしれない。伊良部みたいな人に相談できたらいいのになぁと思ってしまった。伊良部の言動は、的外れでたまにしか医学的というかまともなことは言いませんが、なんだかかわいくて思わず笑えます。
- 商品名: 空中ブランコ (文春文庫 お 38-2)
- 価格: ¥530
- 著者: 奥田 英朗
- 出版社: 文藝春秋
- 発売日: 2008-01-10
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- 2007/03/19更新
- 2007/03/18登録
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