天界/久保田早紀
久保田早紀のセカンドアルバム。大ヒットのデビュー作から1年でリリースしたにもかかわらず、売上は一気に落下。
当時、僕は発売と同時に買って随分聞き込んだけど、前作に劣らないクオリティーなのに、なぜ世間は彼女に冷たいのか理解に苦しんだ覚えが。原因はいろいろ考えられるんですけどね。
基本的に世界観は前作の延長で、「異邦人」が好きな人ならまさに期待通りの名曲ばかり。
名匠萩田光雄のアレンジも相変わらず素晴らしく、やはり最高ののスタジオミュージシャンによる最高のプレイも聴きごたえ十分。1980年リリース。
好きな曲・・・もちろん全曲素晴らしい
「碧の館」:前作の「ギター弾きを見ませんか」に続くファド風ボサノバ。今回はガットギター2本の絡みが素晴らしい。歌詞が幻想的で、曲調もそれに合わせて非常に緊張感と雰囲気のある名曲。‘碧の館に吸い込まれてしまった いたずらな恋におぼれてみたくて’って、恋に恋する危うい少女の夢世界が炸裂。
「葡萄樹の娘」:結婚を誓った恋人を、浮気な悪い女に盗られた歌。こう書くととってもドロドロしているけど、曲調は格調高くてドラマティック。舞台が‘村’ですからね。それも日本の村ではないですよ。葡萄樹があるんだから、やはりヨーロッパなわけですね。サビの高音がとても美しいです。
「田園協奏曲」:今度は舞台が避暑地ですよ。小さい頃から大好きだった人が、先に大人になって別れを告げるという、前作の「白夜」の悲劇的なパターン。ピアノとストリングスだけのアレンジが心にしみます。彼女のちょっとハスキーな声が、また静かな悲しさを感じさせるんですよねえ。
いやあ、10数年ぶりにこのアルバムを聴きました(ずっとCDを持ってなかったので)。なんかもう、感動ですよ。全然色褪せていない。むしろ、昔は気づかなかったサウンド面のクオリティーに驚くばかり。
やはり‘生の演奏’というものは、時代を超える力がありますなあ。
上で選んだのはおとなしめの曲ばかりですが、全体の印象は前作よりもっと派手かも。
オープニングの「シャングリラ」に象徴される、フュージョン系のサウンドに彩られた宇宙的な世界観の曲も多く、アルバムタイトル「天界」に恥じない意欲作です。「アクエリアン・エイジ」なんざ、めっちゃクールでカッコいいですぜ。
ただ、出だしの派手さとは裏腹に、聞き終わった後は非常に寂しい気分になるんですね。それはまあ、歌詞のせいで、前作にはまだ‘再会への期待’みたいなものがあったけど、このアルバムには‘別れ’ばかり。それはまさに、前作のラスト「星空の少年」と、このアルバムのラスト「最終ページ」を比べれば明らかで、このアルバムを最後に、夢見る少女の時代は終わってしまうわけです。
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