フィッシャー スペースペン
Fisher Spacepen AG-7 (ボールペン)
男はうんちくに弱い。正確に言うと、うんちくの裏側にある「物語」に弱い。
現実に、跳ね馬の物語に惚れ込んで数千万を払う男もいる。
それを見た女はたいてい笑う。それを聞いた男はその男のバカさ加減を笑った後、少しうらやましそうな顔をする。
Fisherの特許技術のペン芯を装備したSpacepenは数種類が市販されているが、
AG-7はそのフラッグシップモデルとして、誰にもマネの出来ない物語を持っている。
「世界で唯一宇宙で使えるボールペン」
「世界で唯一月へ行ったボールペン」
文字通り、ワン・アンド・オンリー。Made in USAが誇らしげだ。
同じストーリーは、Zero Halliburtonのアタッシュケースや、OmegaのSpeedmaster Professionalにもあるが、こちらは一桁以上少ない予算で手に入る。
創業者のFisherが100万ドル以上掛けて開発したガス封入の特殊なペン芯は、宇宙だけでなく、水中や逆さにしての使用にも耐える。クロームメッキのみのシンプルなデザインは、ジュラルミンを輝かせて飛んでいた頃の航空機を思わせる。
正直、私の手には少し細い。しかし、手袋をして握ってみるととちょうどいい太さになる。そのとき、そこにも物語を感じる。
ちなみに、このフィッシャーというメーカーの新作には、「今世紀中のインク切れ無し」を保証し、インクが切れた場合は新品と無償交換することをうたう、ミレニアム・シリーズという冗談のようなボールペンがある。(もちろん冗談などではなく、NASAで培った技術の結晶なのだが。)この荒唐無稽とも思えるスケールの大きさは、さすがアメリカメーカーならではといったところだ。
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