みろくぼさつはんかしゆいぞう
弥勒菩薩半跏思惟像(広隆寺)
広隆寺(こうりゅうじ、京都市右京区)に蔵置されている、弥勒菩薩像。
「ことばは世界をとらえそこなう」という類のことは、世界のあちこちでいろいろな人が口にし、無数の人が口にしないまでもそう思ってきたはずだが、私がはじめてそうリアルに感じたのは、この像と対面した瞬間である。
私は、その姿に、ことばにすることができない、「空白」のようなものを認め、ただそれに呑み込まれようとしていた。この「空白」こそ、人々が<カミ>と呼んできたものの一端なのではないか。そうも感じていた。そのとき漂ってきた林檎の香りを、奇妙に覚えている。
* * *
この話には続きがある。建物から庭に出ると、猫が二匹、子孫繁栄のための大スペクタクルを展開していたのである。そして、子供が二人、それを身じろぎもせずに見つめていた。二人が見つめていたのも、ある種の「空白」だったに違いない。これは半分冗談で、半分本気である。
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