ふしぎなりょうし きみょうなるーるとりゅうしたち
「不思議な量子 奇妙なルールと粒子たち」
ちと格好つけて数式から始めよう。「λ=h/p」……アインシュタインの「E=mc^2」に比べると,知ってる人はその意味まで知ってるが,知らないひとは見たこともないというド・ブロイの式である。λは波長,hは世に言う……言わないか,プランク定数で,pは運動量である。プランク定数というのはマックス・プランクがアインシュタインに先立つ1900年にそれまでの電磁気学と熱力学では説明出来なかった空洞放射という現象を説明するために導入した式「E=hv」(エネルギーEは振動数vに比例する)で使った比例定数。空洞放射というのは……こんなこと書いてたらキリがないな(笑)。いったいなにが言いたいのかというと量子力学に興味を持つようになって20数年,この本の説明で初めてこのド・ブロイの式の持つ意味,というか意義がストンと腑に落ちたのである,オレの。そんだけこの本は素晴らしい本なのである。
子供の頃,全ての物質は原子というもので出来ていて,それは「これ以上分割できません」という意味だ,と教わった。もう少し年齢が上がると実は前に教えたことはウソであり,原子にも中身があって(中身があるということは分割出来るということだ),その構成要素は陽子と電子と中性子というもんである,ということになった……いや,そんときなったわけぢゃないけどね。陽子には正の電荷,電子には負の電荷があり,中性子は電荷を持たない。原子の質量は陽子と中性子の和で決まり,この2種の粒子が形作る原子核の周りを電子が飛び回ってる……。高校で物理をちゃんとやらなかったヒト(オレもそうだが)のこの方面の知識はだいたいこの辺りまでぢゃないかと思う(違ってたら教えてください。なにしろ高校を卒業したのは20年以上前のことからね)。その後,20歳を超えたくらいかな? 量子力学というのを知った。要は上のような単純なモデルではいろいろと説明出来ない現象があって,それを説明するためにもっと小さい粒子の存在を仮定してみたらうまくいき,そのうち(スーパーカミオカンデでニュートリノを捕まえたことを思い出そう)その実在も確かめられたのでどうやらこれが世界の真の姿らしい。が,まだ「ほんまか?」とみんなが疑ってる話もあって,そのヒトツが例の「超ひも」だったりするわけである……。
本書はそんな量子論の世界を,サイズの話から説明していく。水素原子を直径3キロの球体だとすると,その原子核というのはどのくらいの大きさか。答えは真ん中にぽつんと置かれたゴルフボールくらい。そのゴルフボールから1.5キロ離れた辺りに電子がいる。この電子,例えば地球の周りを回る月のようなものと思うとそうぢゃない。電子は「原子内の3次元空間に波として広がっている」んだそうな。イメージ湧きます? ここで話をド・ブロイの式に戻す。上の話をものすごぉぉぉぉぉくかいつまんでものすごぉぉぉぉく敷延すると,物理世界の全ての現象は波であると。あなたも波,私も波,郵便ポストも波なら,その赤いペンキもまた波なのである。例えば電子が一個の粒子として扱えるのはそれを波としてとらえたときの波長が一定だから。で,ド・ブロイの式はその波長を算出する。「λ=h/p」。hは定数だから要は運動量pの値。運動量というのはつまり速さと質量の積だから,速いものやでかいものの波長はとっても短い。ヒトが秒速1mで歩くとしてその波長は10のマイナス35乗m(これは原子核の大きさの……1兆分の1のそのまた1億分の1くらいである)。だからニンゲンはちっとも波に見えないのである。いやぁ感動だなぁ,そうだったのか,と思いません?
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