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あおちゅう

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青ヶ島酒造(東京都青ヶ島村)が醸す芋焼酎。口に含むと、かなり強い酸味が広がり、それが弧を描いて収斂していくわずかの間に、香ばしさ、甘さ、旨さが覗き、さらにもう一度酸味が立ち上がってくるという、なんともこんがらがった、「独特」としか言いようのない味わいである。香りも酸味を帯びており、強烈。洗練とは対極にある、「野生」である。イメージだが、自分で飲む酒を自分で造ると、こういう感じになるのではないかと思う。

さてしかし、この<あおちゅう>、一筋縄ではいかない酒なのである。上の印象は、先週の土曜日に居酒屋でいただいた「あおちゅう」に対するものである。実はこれは、同じ<あおちゅう>でも、私がいままで飲み、知っていた「青酎」という酒とは全く違う、未体験のものだったのである(だから驚いたし、そのため、上の表現はその驚きが反映されて、少し過剰になっているかもしれない)。以下、私が調べられた限りでの「謎解き」を。

まず、<あおちゅう>と呼ばれる青ヶ島村の芋焼酎には、「青酎」と漢字で表記されるものと、「あおちゅう」とひらがなで表記されるものがある。いずれもラベルに表記されている製造元は、青ヶ島酒造。

さらに「青酎」は、ラベルの右部分に「池の沢」と表記されているものと、「黒」と表記されているものがある。「あおちゅう」については、ラベルの似た「あおちゅう」「あおちゅう青宝」と、デザインのまったく違う「あおちゅう 伝承」がある。

なぜこのようなことが起こっているのか。それは、これらすべてが、それぞれ同じ島内の全く別の人によって造られているからなのである。したがって、それぞれで造りも異なっているようだ。以下、銘柄ごとの作りの違い。ポイントは、1)仕込みの方法(麹だけで造った1次もろみに芋を投入して2次もろみを取るという二段仕込[こちらが現代の主流]か、麹と芋を同時に投入してもろみを取るどんぶり仕込か)、2)麹のタネと菌種、3)アルコール度数、4)麦焼酎をブレンドしているか、5)その他、である。

○「青酎 池の沢」
1)二段仕込。2)麦に白麹菌をつける。3)35度。4)芋焼酎と麦焼酎を別々に蒸留したものをブレンド。比率は芋1:麦2だという。5)最新の製麹機を導入し、製造量も一番多い。1名の杜氏が手掛けている。

○「青酎 黒」
はっきりとは分からないが、基本的に「池の沢」と同じ杜氏の同じ作りで、2)麦に黒麹菌で仕込んだものなのではないかと推測される。

○「あおちゅう青宝」
1)二段仕込。2)麦に自然(黒)麹菌。3)30度。4)麦焼酎のブレンドはしていないようで、5)1名の杜氏が手掛けている。

○「あおちゅう伝承」
1)どんぶり仕込。2)麦に自然麹菌(おそらく黒)。3)30度。4)ブレンドはなし。5)3名の杜氏が手掛け、原材料の芋・麹用の麦、麹菌のすべてが青ヶ島で生産。そのため、製造量は極僅か。

○「あおちゅう」
1)どんぶり仕込。2)麦に自然麹菌(おそらく黒)。3)30度。4)ブレンドはなし。5)7名の杜氏が手掛けており、杜氏によって味が異なるという。

というわけで、私が以前いただいたことがあり、味を記憶していたのは、「青酎 池の沢」であった。そして、先週いただいたのは、(このキーワードの)「あおちゅう」である。まったく別のものだったのだ。味が違うのは当然である。だが、もっと驚くのは、一応同じ銘柄をうたう「あおちゅう」の中でも、味が全く異なる(もしかしたら7通りある)可能性が高い、ということだ。

<あおちゅう>は深い。限りなく深い。

あおちゅう

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sjo k.画像 投稿者:
sjo k.

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