Karl Richter / オルガン曲選集
1979年2月23日に東京カテドラル聖マリア大聖堂で行われた、カール・リヒターのオルガンコンサートを録音したもの。全曲がバッハのオルガン曲でまとめられている。ライブなので咳払いも聞こえれば、曲と曲の間、観客がヒソヒソと何やら話している声までクリアに聞こえてくる。
曲のいくつかにはミスタッチと思われる変な音が何カ所か存在するし、1曲目の「幻想曲ト長調 BWV572」に至っては、本来の譜面から逸脱して完全に「作曲しちゃっている」ようなところまである。なんとなく厳格さが重んじられるような感のあるクラシック、しかもオルガン曲で、こんな自由に弾いちゃっていいの? と聴いている方が一瞬戸惑ってしまうかもしれない。
それでもこの録音がスゴイと思えるのは、奏でられる音の一粒一粒が圧倒的な存在感で聴いてるほうにひしひしと迫ってくるところ。まるで音楽がどこか彼方からわぁっと雪崩をうって降り注いでくるような感じ。
現場でリヒターがひょうひょうと弾いていたのか、それとも一心不乱に弾いていたのかは、その場にいなかった者にとってはその姿を知ることができないけれども、それでも一音一音に、なんか込められているよな、という気がしてならない。
教科書になるような録音ではないかもしれないけれども、オルガン曲の凄みというか、どっしりとした格好よさを感じるにはうってつけの1枚だと思う。
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