現代たばこ戦争
伊佐山芳郎著。岩波新書。1999年発刊。
タバコをめぐる多くの問題が鋭く指摘されている。
喫煙者も非喫煙者(間接喫煙者)も、タバコ業界、国の被害者であるという主張には、完全には納得できないが。
タバコ販売にかかわる多国籍企業のアジアなどをターゲットにした市場開放圧力には米国政府も大きく加担していること、JTも同じように東南アジア諸国ではあくどい売り込みを展開していることには驚かされる。また、環境の面からは、タバコの葉の乾燥のために世界中で使われる薪の80%が使われているとので、毎年長野県二つ分の森が消えていることになる。
ニコチン依存については、ニコチンによりマインドコンとロースされているのと同じだということは、喫煙者に接していると納得できる。喫煙を注意すると、感情的に反応する人にはよくであう。
疾患との関連では、肺がん、咽頭がん、肺気腫がタバコとの因果関係が明確になっている三大疾患だが、よく指摘されている慢性の影響以外に急性の大動脈などに対する作用もあるようで、特に胎児、乳幼児への影響は欧米では強く認識されている。
この中で取り上げられている未成年者の喫煙本数が、全体の約20%というのも驚かされる。今後taspo完全導入により少なくともこのくらいの減少率が期待される。コンビニなどでの購買に移行する可能性も指摘されているので、その点もしっかりやってほしい。
また、米国におけるタバコ訴訟の経過の詳細が記載されている。特に州政府がタバコ会社を訴えて、総額400億ドルで和解していることは重要である。集団訴訟におけるクラスアクションという制度によるところもあるだろうが、日本のJTも毎年数億円ずつ払っているということは知らなかった。日本の裁判の判例にみられる、喫煙が社会的に認められていること、受忍限度論(日本の社会は喫煙に寛容であるとする)は、現在はかなりかわってきているだろう。喫煙による社会的損失は年間数兆円であり、喫煙者=優良納税者というのは詭弁であることも指摘されている。
受動喫煙を強制喫煙と呼びかえるというのには賛成だ。また、愛煙家という言葉の問題にも触れている。むしろ、タバコをやめたくてもやめられない喫煙者というべきというのにも同感だ。島田伸介、緒方拳などタバコCMに出ていたタレントのタバコ問題に対する認識の低さも取り上げている。
- 2008/04/25更新
- 2008/04/25登録
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