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ダイノサウロイド

河童恐竜

  • 河童恐竜の画像

群馬に行けば河童に会えると聞いて思わずそわそわしたのだが、これまで茨城県の涸沼や牛久沼を訪れても会えなかったし、遠くは遠野まで行って三日間何処も行かず、河童と対面することを夢見てひたすら呆けていたことを莫迦にされたりしたこともあったので、流石に子供のようにはしゃいで嬉しそうな表情を浮かべるのは躊躇われた。

http://www.ushikunuma.com/minwa/...
http://www.kizakura.co.jp/gallery/...

「今度は確かなんでしょうね」
「まず間違いのないところだ」
「たとえば証拠写真があるとか」
「写真よりもっと確かな証拠があるのである」
「で、場所は?」
「群馬県立自然史博物館」
「そんな公共施設になんでまた?」
「御上も河童の存在を否定できなくなったのであろうよ」
「アメリカに於けるUFOの如くに?」
「過去に於いてもUFOの存在は公然の秘密であった」
「でも、日本の河童は単なる妖怪伝説でしょ?」
「愚かものめ。信じるものは救われるのじゃ」

で、実際に行ってみた。

「これって例のダイノサウロイドじゃないですか」
「だからお前は莫迦だというのだ」
「先生はこれを河童であると?」
「決まっておる。これはどう見ても立派な河童だ」
「目は爬虫類で指は三本ですね。臍まで付いて」
「カナダのラッセル卿はこれをステニコサウルスの進化形と推論したからこうなった。お臍は環境変化に対応して卵生から胎生へと転じたからだ。ステニコは今はトロオドンと名前を改められたが、日本の河童はステニコサウルスとパキケファロサウルスとの混血体なのだ」
「堅頭類ですね」
「鳥盤目・周飾頭亜目・堅頭下目と言いなさい。彼らは白亜紀後期に生きた植物食恐竜だ。であれば、農耕稲作を国造りの基本とした日本人にも相通ずるものがあろうよ」
「如何にも先生らしい牽強付会ぶりですが」
「るせぇ。だあってろ」

http://umafan.blog72.fc2.com/...

おそらく博物館のスタッフなのだろう。綺麗な制服を着たうら若き麗人が後ろで笑っていたが、先生は瑣末な出来事に心を奪われるような人物ではない。

「拙論が正しいことは、此処にスミソニアン博物館と同じ標本があることでも明らかではないか」
「つまり、欧米の恐竜学者も河童が恐竜の末裔であることを認めたと?」
「それを受けて渋々日本の学者も同意したのだ。つまり、群馬県内に河童がいると公式に認めたのも同然だろうよ」
「だったら探しに行きましょ?」
「こんなチャンスは滅多にない。行こう行こう」

ボクと先生は下仁田から南牧村を抜けて上野村に入り、神流川の渓流に沿って山奥へと進路を取った。

「いないな」
「いませんね」
「岩魚でも持ってくりゃ良かったな」
「塩焼きですか?」
「焼きたてを熱燗に浸した骨酒も捨て難い」
「河童の餌じゃないんですか?」
「お前が塩焼きなどと云うからじゃ」
「さっき川下で渓流釣り大会をやってた所為かも」
「あれでは河童も安気ではおられまいて」
「帰りましょうか」
「だね。帰ろ」

松本に戻った二人は「瀬川」のむしりを肴に麦酒を呑み、河童恐竜探索の方策を熱く論じ合った。

「しかし、なんで群馬県なんでしょうね」
「それは群馬が木枯らし紋次郎の故郷だからだ。『木枯し紋次郎。 上州新田郡(にったごおり)三日月村の貧しい農家に生まれたという。十歳の時、国を捨て、その後一家は離散したと伝えられる。天涯孤独な紋次郎が何故無宿渡世の世界に入ったかは、さだかでない。愛を求めて彷徨う旅か孤独を求めてさすらう旅か。縞の合羽に三度笠。口の楊枝がヒュウと鳴る。あいつが噂の紋次郎』…」
「主題歌は上条恒彦でしたね。『どぉこかでぇ~誰かがぁ~きいっと待ってぇ~いてぇくれる~』…」
「五月蝿いね。まったく」
「紋次郎と河童ですか。と云うことは、ありゃりゃのりゃ」
「合羽つながりだもんね」

尊敬する人物が身近にいると云うことは、時に何ものにも換え難い財産である。

誰でもいいから引き取って貰えないだろうか。

河童恐竜

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涙腺子画像 投稿者:
涙腺子

コメント (2)

2007/04/30

Poughkeepsie しかしなんですね、このラッセル博士という御仁・・・基督教的異端としてはどのような位置におらしゃいますのでしょう?

涙腺子 Dale.A.Russellの名が示すように、おそらく彼の祖先はスチュアート王家に対して叛乱を起こしたウイリアム・ラッセル卿から始まったちゃきちゃきのスコットランド人なのでしょう。基本的にスコットランド人と云えば頑迷なる清教徒が多いのですが、19世紀にアメリカやカナダへと渡った移民たちの中には、窮屈な宗教的束縛から逃れて無神論者へと転じた者も少なくないと聞き及びます。それにしても、日本の古生物学者が学会でこんな発表をしたら、翌日から村八分にされて生きてはいけないでしょうね(笑)

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