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偶然の音楽 (くうぜんのおんがく)

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ポールオースター、何から読もう。
と思って、本屋の棚(新潮文庫)を見てたら
ピンとくるタイトルが目に入ってきた。
ちょうど、私は、"偶然”ということばと
音楽ということばが大好きだ。
(偶然とか、確率とか、そういう言葉。
大切に。って昔、言われたことがある。)
タロットカードの運命の環を思わせるよな
文庫版の装丁画が気に入った
ただそれだけの理由で初めてのオースター。
入門書としては、当時の私にとって、
結構ヘビーだったな、ということをなんと無しに覚えてる(笑)

そんな本を、この土日、
あまりに暇だったので、本棚から取り出して、
読み始めたら、面白くて面白くて、
どんどんどんどん読み進んでってしまった。

ナッシュの物語は実は赤の他人の物語じゃなくて、
もうひとり、いるかもしれない自分の物語のような気すらしてくる、
オースターは "自分がどこか架空の舞台に立った役者にすぎず、
 前もって書かれた科白を反復してるだけのように思えた。"
とナッシュに関して書いている。
ただ、ナッシュの場合は、コトと事(そして金)が大きすぎただけで
実は、自分自身を第三者的にする光景は、
日常の中であまりに普通に起こる。
ありふれたシチュエーションで、唐突に私達の前にも訪れうるから。
常軌を逸している登場人物たちの言動は
まるで、デジャブを見させられてるかのような、
そこにいるのはナッシュじゃなくて、自分かもしれない
という、その迫力がこの物語独特のサスペンスなのだ。

それにしても、このナッシュと運命をともにした
偶然に出会った口が悪く、
けれど妙に人好きするポッツィという青年が
魅力的に描かれていることが
この少し厚めの物語を飽きずに読み進ませてくれる大きな要因だと思う。
ポッツィと、ナッシュのいささか奇妙な信頼関係の成り立ち
そのあたりも大きな物語の見所。

心の平静を作るためには
遠回りしてでも時間と、
つまらないようなことでもイイから集中できる物事、
それが自分にとって何であるかを見つけ、知ることだろうな、
という漠然とした答えのような手ごたえが、読後得られると思う。

彼らの場合、それは
石を積むことだったわけですが。

偶然の音楽

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syncream
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  • 2007/05/27登録
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