原田和男『ΣΙΔΕΡΟ ΗΧΟΣ』
茅ヶ崎の原田和男氏による『音響彫刻』。鉄を用いたオブジェのような楽器のような、とにかく触れたり、風が吹いたり、力が加わると音の鳴る物体。この不思議な名前はギリシャ語で「鉄の響き」を意味するらしい。
カウベルやドラムのように既存の楽器に近い作品や、赤ちゃんのガラガラのようにやはり「音の鳴るもの」を想起させる作品もあるが、個人的に気になっているのは楽器から遥か遠い形状の作品。とりわけ触れてみたいのは『COSMO ΑΝΕΜΟΣ』(コスモアネモス=宇宙の風)という、レインメーカーに発想のヒントを得た銀色の球体。転がすと、内容物が触れ合ってえも言われぬ音が囁く。茅ヶ崎市美術館から拝借したこの球体の画像(撮影:二塚一徹氏)がそれで、よく見ると断面も写っていて、興味はあるけれど種明かしはされたくなかった、実に複雑な写真(笑)。
いわゆる楽器は、鍵盤のように既にコントロールする装置が用意されているように思うけど、これはそういう意味では楽器ではないだろう。「こういう風に鳴らそう」と思う人がいたらその恣意的なものを受け付けない一方で、偶然触れるだけでも心地よい響きをもたらしてくれる。加えて、その触れ方や状況、そして受け入れる側次第で還ってくる響きが異なる。力を加える人間とシデロイホスの関係に、奏者と楽器以上に様々な関係性を投影することができそうで実に興味深い。また、どちらかというと、人間と対象物の間に出来上がる「響きによる時空間」はパーソナルなもので、誰かのために奏でられるものとは少し存在が異なるように思う。
で、ぜひ実際に触れてみたいのだけれど、展示活動はそんなに頻繁ではない様子。つい先月、茅ヶ崎市美術館で展示とコンサートが行われたばかりで、ここでは五世鶴澤淺造さんの三味線との共演もあったらしく、もっと早く知っていれば…。汐留シオサイトの第3区には『シデロの林』という原田和男作品10点が常設された場所がある(公団とイタリア公園の間)らしいので、なかなか機会もないけどここも立ち寄ってみたい。あ、あと渡辺謙の『明日の記憶』にも登場しているのだとか。近々では夏休みに川口市でイベントがあるらしいけど、詳細は不明。茅ヶ崎市美術館には、常設作品はないのかな…
Y's ギャラリー 展示の模様
Gallery Surge 2006年の展示の模様 2000年の展示の模様
- 2007/06/17更新
- 2007/06/17登録
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