ピクルス
御手軽欧風酢漬
地平線の彼方まで自分の土地と云うのはさぞかし気分の良いものだろうが、そこまで広大だと何をどうして良いのかワカラナクなるから、我が家の菜園は十坪である。
縄文採取文化の血をひくボクとしては昔から弥生農耕文化に対する生理的違和感があったのだが、どうしてどうしていざ実際に土を耕してみるとこれが面白い。
ど素人のボクを哀れんで、家庭菜園のプロが土おこしから畝の作り方から施肥の仕方からマルチの敷き方から何から何まで懇切丁寧に教えてくれた上に、あれやこれやの種をくれたり堆肥をくれたり長葱やニラの苗をくれたり殺虫剤までくれたので、まがりなりにも実がなった。
ボクが用意したのは長靴と軍手と鋤と鍬と鋤簾くらいなもので、大したことは何もしていない。
実がなったのは今のところ二十日大根とミニトマトと胡瓜であるのだけれど、地下に埋もれて大きくなった大根に対して実がなったと云えるかどうか、ボクには判然としない。
***
で これからが本題なのだが
採れたものをどうするかと云うと、これが何も考えていなかった。紫蘇やバジルは葉っぱだから冷奴や冷製パスタに用いることができるが、実の方は帯に短く襷に長しでどうして良いのか見当がつかない。
仕方がないからピクルスである。
***
広口の壜に二十日大根やら胡瓜やらを適当にぶち込んで、その半分の高さまでミツカンの「すし酢」を注ぎ入れ、同量の水で希釈する。唐辛子を一本と月桂樹の葉っぱを二枚。黒粒胡椒を適当にパラパラ。それをひと晩冷蔵庫で寝かせる。
しこうして翌朝壜を取り出してみると
あはは うふふ できちゃった
食してみれば出来損ないの胡瓜や不揃いの二十日大根の歯ごたえが心地良く、カベルネソーヴィニヨンとゴルゴンゾーラに合う。パンは勿論「アンデルセン」のパン・ド・カンパーニュである。
***
と云うようなわけで
知らない人も多いと思うから言っておくと、家庭菜園と云うのは野菜を作るだけが目的なのではなく、実はそこで採れたものを食べてもいいし、それらの食物が種蒔く人の艱難辛苦の果ての産物だと自慢しても構わないらしく、そうしてみるとこれほど愉快な娯楽はないのである。
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コメント (2)
2007/06/22
Poughkeepsie 地生りを新鮮な状態で頂く。さらにひと手間かけて、土の香りがしてきそうなピクルスをぱりぽりやる。いーですね(笑) 雪をかぶった日本アルプスの山々を望みながら、鍬使いでつらくなった腰を伸ばす・・・なんとも「ゼイタクはステキだ」(盗作)
涙腺子 水上勉風に云えば「土を喰う日々」ですが、土の下からぐいぐいと芽を伸ばす長葱や韮を刈り取って味噌汁や玉子汁に仕立てますと、餓鬼の時分に味わった昔懐かしい土の記憶が鼻腔を擽り、胡瓜や二十日大根の歯応えまでが超市場(Super Market)で買うものとはまるで違っていて、非定住型狩猟採取民族の末裔としては実に困ったことになったと、日々溜息をつきながらピクルスを齧っております(笑)
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