ウォーターヒヤシンス
布袋葵
朱文金と鮒が共同生活を営んでいる水槽に放り込んでおいたホテイソウの花が咲いた。一本の茎に三つの花。ひとつの花には六つの花弁があり、そのひとつに独特の模様が浮き出る。
花の命は短くて、一期一会の艶姿。カメラを構えたら餌の時間と思ったのか、朱文金が一斉にボクの目を見た。
***
「どうかね」
「日々是好日と思えば火もまた涼し」
「相変わらずじゃの」
「で 本日はまた如何なるご用件で」
「特にない 特にはないが酒はある」
「えへへ それだけで充分ですな」
「臼田の『佐久の花』と信州新町の『十九』だ」
「娘十八番茶も出花 オイラ十九で押し倒す」
「あれは麦畑で もう刈り取りは終ってる」
「ご隠居にもそのような青春時代があったかと」
「我々の時代は主にトウモロコシ畑じゃった」
「畝と畝の間で?」
「風そよぐ 風もないのに 穂が揺れてぇ~」
「実に風情ですな」
「東京から疎開してきた別嬪じゃったし」
「嫌がる娘を無理やり畑に連れ込んで…」
「噺がアベコベでこっちが誘われたのだ」
「うそつけ」
「インディアン嘘つかない」
「何でまた貴方のような変人を」
「実は蜜豆を奢ってやったのだ」
「白玉入りのやつ?」
「アンズも入ってたで」
「それなら判る」
「そう云うおまえさんの了見がワカラナイ」
「蝉鳴いて 季節外れの 桃匂う」
「俳句は下手だが 良い時代であったな」
「ひと夏を ひと夜で散るか ホテイソウ」
「どんどん下手になるね」
「呑みましょうか」
「そうするべ」
「そうしましょ」
- 2007/07/01更新
- 2007/07/01登録
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コメント (7)
最新コメント5件
2007/07/01
Himajin 今日、家人の大声で 急ぎ去っていく後姿を見ました。悲しくも平和なお尻でありました。
ハピネス雫 「布袋葵」って言うんですね いやぁ~我が家の庭にも祖父が育てていた それが裏庭から玄関にやって来て そうこんな薄紫の花を咲かせているんです なんて花なのかな~って思っていました。布袋葵って言うのですか 良かった名前が分かって そうそう そこにメダカも住んでいます^^
2007/07/08
grover 蜜豆と麦畑、いやトウモロコシ畑、なんとのどかな。いい時代だなぁ。
涙腺子 可愛い娘と見ればすぐに「何処かで美味いもの食べてからカラオケ行かない?」なんて、八十歳にしてますます意気軒昂なるご隠居と戯れておりますと、アタクシなどはまだまだ雛っ子で、涙腺子家伝来の『女祓い棒』にこびりついた薄紅・白粉の厚みも、到底御先祖たちの足元に及ばないと反省させられる毎日でございます(笑)
2007/07/10
grover 反省しつつ、薄紅・白粉の増量に励まれていらっしゃる今日この頃かと(笑)
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