ワケシリガオノフカナサケ
Spring Bank
ワケ知り顔で言わせて戴ければ、スコットランド・キンタイア半島にキャンベルタウンと云う町がある。かつて19世紀後半には30を超える蒸留所が在ったウヰスキーの町だが、現在はスプリングバンクとグレン・スコシアしか残っていない。天然の良港にして石炭と大麦の産地であったことが要因だが、石炭鉱脈は片っ端から掘り尽くされ、海運産業は時代に遅れをとり、禁酒法時代に粗悪なウィスキーを乱造したこととも相まって、戦後は急速に衰退していった。
スプリングバンクが何故生き残ったかと云えば、創業以来全ての麦芽をフロアモルティングし、初溜釜は石炭で直焚きする独自の製法を崩さなかったからであり、ボトリングに至るまですべての工程管理を蒸溜所で行なっているからでもある。
中でもボクが好きなのは<woodexpression>マルサラ 9年・58%とか云うやつで、マルサラワイン(イタリアのフォーティファイドワイン)の樽で仕上げたもので、リフィルバーボンで7年熟成させた後、更にマルサラの樽に2年間漬け込んである。酒屋の能書によれば『はちみつのような香りとクリーミーな麦芽の香りが見事なバランス。甘みが強く、食後酒として最適なデザートウイスキーです』とのことだが、ラム&レーズンの如き薫りと芳醇な味わいは甘口ではあるがモルティーそのものであり、デザートウヰスキーとして葉巻との相性も抜群である。
アルコール度数:58度
熟成年数:9年
容量:700ml
一般市場価格:7,960円
***
それはそれとして
この『Spring Bank』の名を冠したBARが乗鞍高原に在って、以前は安曇村だったこの地が市町村合併によって松本市に吸収されたことから、市街地から一時間半もかかるのに郵便番号上はと云うか表向きにはと云うか、松本のBARになってしまったのである。
松本市内のBARになったのは別に店の責任ではない。責任ではないが、そうなったのは事実である。事実はこれを素直に受け止めなければならない。
で、つまり
そうなった以上は出かけないワケにもいかず、行けば当然呑まないワケにはいかず、呑めばどうしたって右から左までシングルモルトをひと通り味わい尽くさないとボクとしては気が済まないワケで、よってもって帰りの代行運転付きタクシーのお値段はコロナ観測所での計測値を遥かに上回る天文学的数値を勝手に弾き出し、別段悪いことをしているワケでもないボクをひたすら項垂れさせるに十分なワケをも紡ぎ出して、巡り巡ってそれこそが今日もまた深い溜息をつかざるを得ないワケなのである(笑)。
- 2007/07/07更新
- 2007/07/07登録
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