しゅのうまさゆき
殊能将之
ミステリはほとんど読まないんですが、最初に『ハサミ男』を読んだときはびっくりしました。すごい。すごいひねくれかた。だいたいXTCの曲からタイトル持ってくるかフツー…複雑なロジックを弄ぶだけじゃなく、アクロバットが見事に決まってます。二作目の『美濃牛』は人を喰った韜晦ぶりに感心しました。コール・ポーターと横溝!そして三作めの『黒い仏』、“究極のルール違反”をやってのけたこの作品に悶絶。一言で言えば、ウケたわけで。二言で言うと、激しくウケた。4作目『鏡の中は日曜日』は見事な構成。世間的にも好評でした。先日出た『樒/榁』は『鏡の中の~』の外伝的中編。これはなんだか、コント風でしたね。小林信彦をちょっと思い出したり。オチの落語ネタとか。
『鏡の中の~』で“犯人は創造的な芸術家だが、探偵はたんなる批評家に過ぎない”というチェスタトンの言葉が引用されてたけど、殊能氏が描く探偵・石動戯作(ボルヘス“ドン・イシドロ・パロディ”のもじりだそうで)は究極の読者って感じがします。『美濃牛』では横溝、『黒い仏』ではラヴクラフト、『鏡~』『樒/榁』では架空の作家・鮎井の作品世界に読者として遊ぶ探偵・石動。見事な読解を示しつつ、どっかで根本的な誤読が混じってる感じもする。
- 2002/06/09更新
- 2002/06/09登録
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メフィスト賞きっての識者。 「ハサミ男」 「美濃牛」 「黒い仏」 「鏡の中は日曜日」 ときて、六月には 「樒/榁」刊行予定!
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