リサイクル幻想
これは面白いです。環境やリサイクルに関心のある人に強くおすすめします。帯の「ペットボトルをリサイクルすると石油の消費は4倍に!」の文字が強烈です。
そもそも自分は15年ぐらい前にリサイクル推進が謳われ出した頃からリサイクルに懐疑的でした(笑)。
古紙の再生やプラスチックの再利用なんかは、処理に要するエネルギーとお金(処理するのに用いる薬品を作るコストと環境負荷、など)が、リサイクルによって得られる便益を上回るだろうとなんとなく思っていました。習ったばかりの熱力学第二法則からの連想でした。
そういった忘れかけた疑問に、この本はデータをもって答えを示してくれました。先に簡単に結論を言うと、鉄とガラス以外は全部燃やす。紙もペットボトルも。がばーっと。どうだ。いやー実に明快じゃないですか(笑)
その理由は本書を読むとわかります。物質とエネルギーの流れを考え、収支を計算すると自ずと答えが出てくるのです。って簡単に言うけど実際に試算した人はえらいね(笑)
我々が気づきにくいところでは、「分別」という行為そのものが大変にコストが高い行為だということです。複合製品をリサイクル可能な小片にまで分けることなどは、収支の観点からはまったく無駄な行為ということになるみたいです。その他には、資源の「時空性」など、リサイクル推進論者からは絶対に出てきそうにない概念まで紹介されています。とにかく、随所で目から鱗、なのです。
そして本書では、現代の個人・団体によるリサイクルの盲点を痛々しいまでに突いているだけではなく、来るべき循環型社会のためのシステム、あるいは我々が取るべき行動についてもモデルを示してくれています。これは大いに参考になります。
現時点でそれらが即座に実現可能かどうかはともかく、多くの人が真実に基づいた知識と、それに従った行動を取るようになれば、我々の未来は明るい方向を向くだろうと思います。
政治家や環境活動家の方々に是非とも読んでいただきたい。そんな一冊です。
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