インフォドラッグ 子供の脳をあやつる情報
「キレた」子供による暴力犯罪。最近急増し、あたかも普通の出来事になったかのようにさえ錯覚してしまう昨今。本当にその数が増えているのかはともかく、時代とともに子供の心に何らかの変化が起きているのは事実のようです。
本書は、子供の心と脳に働きかける、薬物のような物質ではなく目に見えない「情報」を「インフォドラッグ」と名づけ、その脅威について語っています。
インフォドラッグの槍玉として挙がっているのが、まずテレビゲーム。特に依存性の強いネットゲームや、プレイヤーに成り代わって暴力行為を演ずることのできるゲーム、などです。これらの持つ危険性を分析し、実際に起きた事件や統計を取り上げ検証しています。そしてもちろんテレビ。このへんは枚挙に暇がない感じです。
脳に影響するメカニズムについては、暴力シーンと、副腎皮質ホルモンであるアドレナリンや脳内物質であるドーパミンとの関連性を指摘しています。これについてはやや古典的な感じがしますが、いわゆる「依存」に至るまでのプロセスを記したくだりや、「真似る」ことの影響などについてはリアリティがあり、誰しもはっとさせられることでしょう。
論調が若干結論先にありき的な印象ですが、個々のトピックは「そんなこともあるのか」と思わせるものが多く興味深いです。例えば、銃を使った大量殺人犯は実は銃を使用するのは初めてで、銃を乱射するゲームで(結果的に)トレーニングをしていた、などなど。あちこちで考えさせられます。
巻末には「子供をメディアの暴力から守るには」として、ガイドラインと対策が書かれているので、多くの人に参考になるかと思います。ここらあたりは、作成側にも意識してもらいたいところですね。
ちなみに自分は、普通の人の何倍もの時間をゲームに費やしてきましたが、全くキレない人間に育ってしまいました(笑)。昨今のゲームは妙にリアリティがあり、脳内で想像して補完する隙もなく映像・音が直接的に入ってくるのが問題なのでしょうね。実際、恐くて手が出せないものもありますし・・・
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