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ものいわぬかき

物言わぬ柿

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落語を聞きに行くと、最初は時事ネタなんかを話しているのに、どこからともなく「八っつあん、熊公」の江戸時代に遡っていたりして、気付かぬうちに「連れていかれる」、この感覚が好きだったりする。
子供の絵本を見ていても、大人になってから読み返すと不思議な設定に気付くことが多い。有名な猿カニ合戦だって、ハチや栗や石臼がカニに加勢して、柿をひとりじめしてた猿をこらしめるのだが、動物・昆虫だけでなく植物の栗やモノである石臼までがセリフのあるキャラとして登場している。しかしもっと不思議なのは、栗が意志を持っているにもかかわらず、「柿」さんは猿に食べられ放題で、もちろんセリフすらない。本来だったら、「乱暴な猿が私たちを食べるんです」という「柿の悲痛」の物語であってもいいわけだ。だけどこの話の中では柿は沈黙を守り、ただの「柿」に徹している、オトナだ(笑)。
なにも疑うことなくスーッと猿カニ合戦を読んでいたあたり、昔話にも「連れてく」作用がしっかりとはたらいてるんだなぁと思う。

物言わぬ柿

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