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サッド ヴァケイション

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シナリオに、演技に、深い人間に対する洞察力が感じられて、強さと弱さとやさしさが交錯して、様々な想いを残す映画です。監督、原作、脚本は青山真治さん。出演陣は浅野忠信さん、石田えりさん、宮崎あおいさん、オダギリジョーさんなど。すごいメンツが揃っています。

それぞれがとても濃いキャラクター。画面に表現されている場面の外でも様々な人生を経験してきたに違いない、そう感じられる厚みが感じられる登場人物ばかりです。

それも当然なのでしょう。これまでの青山監督の作品、「Helpless」、「ユリイカ」、いずれも私自身は拝見していなかったですが、浅野忠信さん演じる健次は「Helpless」で同じ役で出演し、この作品はその後の話になっているそうです。

宮崎あおいさん演じる梢は「ユリイカ」でバスジャック事件に遭遇し、その後の彼女を描いている、という事だそうです。

2人とも心に傷を負い、救いを求めているようにに生きている、そんな役です。


そういう背景を知らずに観た私は、物語の複雑さに最初「??」で物語の流れを掴むのに時間がかかってしまいましたが。


物語は、中国からの密航者の手引きをしていた健次が密航者の少年アチュンを家に引き連れてくるところから始まります。そして、中国人から逃れるように運転代行業に転進します。そんななかで偶然来た「間宮運送」。そこで健次は昔自分を捨てた母親、千代子に出会います。

「間宮運送」は脛に傷を負った者たちが身を寄せる、そんな会社でした。免許を剥奪された医師、借金取りに追われて逃げてきた者、バスジャックに会い、両親を失ってこの会社に流れ着いて来た者。そんな人たちが身を寄せていて、生きていける場所を与えています。

健次はその会社に入りこんで、自分を捨てた母親に復讐を企てる‥そんなストーリーです。


この映画の本当の主人公は一見、脇役に見える千代子(石田えり)なのかもしれません。
この映画のフライヤーには「すべてを包み込み美しく生きるゆるぎない女たちの物語。」と書かれてありました。

様々な人生を送ってきて脛に傷を負い、居場所を求めて彷徨う人達を受け止めてくれる「間宮運送」。その中心が千代子であることは間違いありません。様々な過ちを受け入れ、包み込み、帰ってくる場所をつくってくれている。でも人に対する厳しさも持ち合わせていたりして。その役を自然体で演じている石田えりさんには頭が下がる思いがしました。


この映画には様々な人物の様々な人生が密度高く詰められています。それは青山監督の洞察力であり、浅野忠信さんをはじめとする役者たちの、経験を糧に、高く積み上げられた演技力によってつくり上げられたものなのだと思います。


派手であったり、気楽に楽しめるような映画ではありませんが、強くて、濃くて、噛めば噛むほど味が出てくる、そんな映画だと思いました。

サッド ヴァケイション

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ダイス画像 投稿者:
ダイス
  • 2007/09/09登録
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