ガムテープ文字 修悦体
JR新宿駅で長らく続いた構内工事の間、張り巡らされたフェンスのそこここに、やけに手作りの趣があるサイン文字がたくさんあった。記憶に新しい方も多かろうと思う。
小生も何となく気にはしていたのだが、工事が完了しフェンスとともにサイン文字がどこへともなく撤去されたのと同様に意識から消えていた。
実はこの文字は、工事中の駅構内でお客さんが迷わないようにと、新宿駅で働いていた警備員氏が独自の判断で、それもガムテープで「描いた」ものなのであった。
今回改めてその文字の生い立ちやその後のいきさつを知るに及んで感銘を受けた。素晴らしい。
作者は佐藤修悦さん。「修悦体」と呼ばれ始めている手作りタイプフェースの精妙なることこの上ない。それだけでなく、作者が駅に文字を「描き続ける」動機が、駅に来たお客さんを案内したい、という、実に純粋なものであることに小生は大いに感動した。
またその手作りサインシステムは、工事の進行によって撤去され遠からず消えていく運命のものなのである。自体の存在にこれほどの緊張感を持ち公衆の観覧に供せられる創作物はそう多くないと思う。感銘禁じ得ぬもう一つの理由である。凡百の自称現代美術作品の遠く及ばない迫力がある。
幸いその存在に着目し記録を残しているグループがいる。ありがとう。なんと近日中に佐藤修悦氏自身による「公演」が計画されているとも。
- 2007/10/08登録
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