Devin Townsend [strapping young lad] / City
97年作品。邦題は『歌舞伎町から超鋼鉄重低爆音』。デヴィン・タウンゼンド(Vo&g)の圧倒的な才能に世間がひれ伏したストラッピング・ヤング・ラッド(以下:SYL)のセカンドアルバム。現在ソイルワークの新作『ナチュラル・ボーン・カオス』のプロデュースでデヴィンは「鬼才」と呼ばれているが、まさしくその呼び名にふさわしい伝説はこのアルバムで確認された。
僕がデヴィン・タウンゼンドの名を初めて知ったのはヴァイのアルバム『セックス&レリジョン』だった。ヴァイが行うバンドサウンドという形態に驚きと不安を感じずにはいられなかったが、この若い才能溢れる当時無名のヴォーカリストは、全く天才的ギタリスト「ヴァイ」のギターに気後れすることなく、自らのカラーをはっきりと示していた。さらに、ヴァイに負けないほどのギターテクニックも彼は同時に持っており、誰もが彼は只者ではない、ということを知った。その後、カオティック・メタル・バンドであるSYLを結成し、1stを発売するも(こちらは音のばらつきが若干あったが、完成度・アプローチは並みのアーティストではなかった)パンキー・ブリュースターという名義でフェイク・パンクをやったり、オーシャン・マシーンというバンドもやっていた(これもアコースティックなどを入れた変わった音楽)。どれもこれも、音楽性はバラバラだが、彼はそのとき感じたことをそのまま分け隔てなく楽曲にしていたということが、非常にこだわっているということが、今になってようやくわかる(当時はどれが本物の彼か?なんてよく言われていた)。
そしてデヴィンが、それらの活動を経て、再びSYLのプロジェクトで戻ってきたのが本作である。前作は1人でほとんどの楽器をこなして製作していたのだが、今回は完全なバンドアンサンブルでシーンに復帰。そこには、メタル界のドラム・ゴッドと呼ばれたジーン・ホグラン(ds:元デス、ダーク・エンジェル)の名も刻まれていた。彼の世界最速とまで言われた、まるで機械音のようなドラムスピードとテクニックに、ノイズとサウンドエフェクトのかかりまくった中、大絶叫するデヴィンのヴォーカル、そして、そこに負けないギターとベースのテクニックが合わさることで、これまでに全く聞いたこともない音の塊がリスナーに襲いかかった。これは、はっきりいって何か謂れもなく恐怖するサウンドで、「あれはちょっと聞けないよ」と当時へヴィー・メタル好きの人間で試聴機の段階で逃げることも決して少なくなかっただろう。それでもこの最高級のへヴィーさにはまってしまうリスナーは後を絶たず、デヴィンの才能を畏敬し、彼を次世代へヴィーサウンドの救世主とまで呼ぶに至っただから、やはりこのアルバムは迷盤ではなく名盤だったのである。
『NO SLEEP UNTIL YOUR BED TIME』というライブ盤を聴けばわかるが、彼らはこのアルバムのクオリティをさらに超えるほどのライヴを披露する。あのドラムが機械を使っていないということの驚きもそうだが、デヴィンの切れ具合はライヴでさらに加速の一途を辿っているのだ。ああ、何故それほどまでに音を刻むのだ、と溜息とともに体は喜んでしまう自分がいとおしかったりもした。
現在ソロ名義での作品やその他の活動が目立っているが、僕はSYLの次回作構想をじっくり練っている音楽家の姿がはっきりと思い浮かぶ。そして、さらに鋼鉄のサウンドに包まってショックを与えることになるとは間違いないだろう。いや、そんなレベルどころか何にも例えることのできない物体を叩きつけてくれることになるかもしれない。
※尚、本日のアルバムは安易に聴かず、覚悟して挑んでもらいたい。それは、あれだけ当時聴き込んでいて慣れてたはずの僕が、今聴いても、尋常じゃない凄さが立ち込めていることを、体感してしまったからである。
- 価格: 2345円
- メーカー: ソニー・ミュージック・エンターテイメント
- 年(代): 1997年
- 団体名: ストラッピング・ヤング・ラッド
- 2002/06/22更新
- 2002/06/22登録
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