ベランダ
ベランダ
3年前、物心つく前から飼っていたペットの犬が、老衰で亡くなった。
家族が揃うまで、最期の力を振り絞って、頑張ってくれた。
お葬式の日。知人がうちのペットの為に花束を持って来てくれた。
まだ、かたい蕾が2つ3つ付いた、白い大きなユリの花があった。
お葬式から帰ってきて泣きつかれてそのまま寝てしまった。
夜中になって、目が覚めると花瓶の前に母がいた。
「ねえ...ほら。」と言う母の視線の先を見ると、ユリが満開だった。驚いた。まだまだ蕾は堅かったのに。
「家の中が暗くなっているから、あの子が咲かせてくれたんだね」
母がそう言った。
あの小さな体のどこに、こんなにすごい力があったんだろう。
最期になって命の輝きに気付いた。
とても愛おしくなった。
しばらくして。
気にも留めなかったパキラにふと目をやった。枯れて落ちた葉を片付けようと近づくと、小さな若葉があることに気付いた。それは、あっと言う間に大きくなった。「ああ、この子も生きてるんだな」って思った。それは、私にとって大きな発見だった。
それから。
興味もなかった植物たちで占領されたベランダへ度々出るようになった。姉がちょこちょこ集めた草花が色々な表情を見せてくれる。ささやかながら、収穫祭も行った。植物が持つ生命力には目を奪われるものがあった。その力を見せつけられる度に、愛犬を思い出す。
私にとって只の草や花だった植物たちが、なんだか愛着のある愛しいものになってきた。だから、今日もベランダへ出る。
- 2007/10/21登録
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