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Paradise Lost

ミルトンの失楽園

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 お話はサタンが神と大戦争して大敗して地獄に落とされた後、ニョロニョロとヘビになってまた性懲りも無く楽園でアダムトイブを堕落させるところで創世記の話とつながる。創世記には登場しないベルゼバブやメシア、ミカエルなんかの脇役もいい動きしてくれている。清教徒革命で議会派についたが、王政復古で財産も家庭も視力もなにもかも失ったミルトン翁がそれでも聖書にすがり、なけなしの二次創作というかたちで創世記をリライトしたのがこの大著失楽園だ。

 旧約聖書をひもといただけではあれほどの迫力あるドンパチシーンは描けないので、恐らくこれは17世紀に起こった一連の血なまぐさい抗争がモチーフになっているのだろう。仁義なきカソリックとピューリタンのギラついたころしあい、血塗られたクロムウェルのスコットランドやウェールズ襲撃、オランダやフランスとのドンパチなど。というわけで神々や悪魔の使う武器も、本当はマスケット銃だったり大砲だったりする。

 思うにこういうものはモデルが複数にからみあったり、一人の人間の要素が複数に分裂したりして幾人かの人物を作っているから厚みが出て面白いのだと思う。ある党派や思想を代表するだけだったら、人間は創作には向かわないで辻説法するだろう。特に気になるのはサタンのモデルだが、やっぱりいろいろまざってるはずで、無垢で残忍なヘンリ8世、議会派で王になりそこねた乞食の王クロムウェルだとか、イギリスに一万の軍勢を送り込んで干渉したオランダ提督ウィリアム、木人ジェームス1世などなど。こういう要素がサタンやメシアのキャラクターに影響をあたえているはずだ。

君のために土地は呪われる
そこから君は一生の間労しつつ食を得ねばならない
土地は君のためにいばらとおどろを生じ君は野の草を食せねばならない
君は顔に汗してパンを食らい
ついに土に帰るであろう。
君はそこからとられたのだから
君は塵だから塵に帰るのだ
(創世記 第三章 関根正雄訳より)

 時代はこのあと産業革命、ジョンロックやアメリカの台頭なんかがあって現代へつながる、カソリックだけではヨーロッパの近代化はなしえなかった。ということでラストシーン、楽園を逐われたピューリタンのアダムとイブは新大陸へと向かいデトロイトに流れついて自動車工場で失業にあえぐようになるのであつた。エーメン。(写真はあんまり関連無い)

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ミルトンの失楽園

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