エカキ / イセヒデコ
絵描き / いせひでこ
きょう本屋さんの児童書コーナーをぷらぷら見ていて、
いせさんの絵とタイトルに惹かれてふ、と手にした。
児童書、とくに絵本のコーナーはよく見る。
本屋さんにいくと、たぶんかならず見る。
平積みしてあるもので、表紙の絵や帯のコピーに惹かれたものは手にとる。
まず最初のページを開く。
そこで自分の中で何かがきまって、
あるものはぱらぱらと見てから閉じ、
あるものは最後まで、読む。
この本は、後者だった。
そして、本の半ばまで来たとき、自分の中で何かが潤い、
読み終わって、価格も見ず、「買おう。」ときめた。
(もちろん、買うと決めたあとで価格は確認しましたが。そして懐にイエス、と承諾を得られるほどだったので、安心しましたが。)
こういう「いい買い物をした!」という出会い、ひさびさだった。
「買う」という行為はいつだって同じなのに、なんでこうもうれしくなれるのか。
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はっきりとしたストーリー(たとえばさらわれた姫を助けに行く、とか、伝説のりんごを探しに行く、とか)はない、と思う。
タイトルの示すとおり、「絵描き」の青年が、絵を描き、旅をし、出会い、帰り着き、絵を描き、苦悩し、光を見、また旅にでる。
でもそれらはどんな順でめぐってもいい気がする。
おそらく、どのページを開いてもいいのだ。
絵に、描き方なんてものがないように。
わたしは絵を描くことがとても好きだ。
だけど、いま描けない。
なにをしているのか、好きじゃあなかったのか、なんのためにいるのか。
自分を苛めたって仕様がないのに。
そんな自分に、この本はとてつもなく遠くから確かな鐘の音を聞かせてくれた。
いせさん自身、描けなかったときにこの音を聞いたのだろう。
それを忘れずに、こうして残しておいてくれたのではないだろうか。
・・・なんて、勝手に想像してしまった。
でも、確かに届いたのだ。
そして、このうれしさをだれかに届けたくて、こうして書いている。
届いたらいいなあ!
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