ブライアン・イーノ / アナザー・グリーン・ワールド
Brian Eno / Another Green World
75年作品。アンビニエントミュージックの創始者であり、現在シーンに多大なる影響を及ぼし続けているブライアン・イーノのターニング・ポイントとなる傑作である。
48年サフォ-クのウッドブリッジでイーノは生まれた。69年ロンドンに引っ越し、ロキシーミュージックに参加(2枚のアルバムに参加している)、脱退後、ソロ活動やプロデュースを開始した。さらに70年代後半には(学生時代に行っていた)視覚芸術活動を再開し、光やビデオ、スライド、音響を使ったインスタレーションを行い、自由奔放な活動から孤高の存在とまで言われるようになる。
さて『アナザー・グリーン・ワールド』は後にいわれる彼のアンビニエント・ミュージックとはやや趣きの違う作品で、オープニングで、ノイズ系ギターが炸裂した後は、思いがけないポップの世界を展開している。これは彼の論理をポップ・ミュージックに持ち込んでみる実験だったのだが、そこには彼がミュージシャンによせたコラボレートセンスがウェイトを占めているともいえる。ギターを務めるロバート・フリップしかり、ドラムをつとめるフィル・コリンズもそうだ。「計画通りにいかない偶発性」、つまりはジャムセンスを重視したレコーディングを試みることで彼の楽曲をミュージシャンのインスピレーションに任せ、自由にやらせたのだ。イーノは出来上がった新しい曲をさらに再構築し、初めには思いもつかなかったアレンジを行い、ここにかつて見たことのないポップワールドを完成させた。彼の目論見は大成功で、ミュージシャンの個性が全く失われることなく、イーノの作曲家としてのセンスとプロデューサとしてのセンスの双方をきちんと行ったのだ。まったく、脱帽ともいえる方法論だが、彼はそれを言葉のロジックだけでなくやってのけたのだ。
最近、イーノといえばU2やジェイムス等のプロデューサーとして有名だが、マイクロソフト社のWindows95の機動音を作曲していたり、環境音楽の先駆けとしてエレクトロミュージックに対して警鐘をならし、自身がそれに対するアンサーミュージックを作ったりという、最先端ミュージシャンであることを再確認してもらえればと思う。
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