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恋するよりも素敵なこと──パリ七区のお伽話 (Ensemble, c'est tout)

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登場する4人の主要人物の第一印象は、とても魅力的とは言えない。

認知症が進み、体力も衰えた老婆。その孫で、生い立ちと仕事の疲れで粗雑きわまりない料理人。ガリガリに痩せ、画家としての才能さえそぎ落としてしまったように見える女性。現代社会に適応できず、絵葉書売りをする貴族の末裔・・・そして、全員が孤独と貧しさに静かに耐えている。

それでも、予感はある。読み進んでもなお4人のいずれにも感情移入できず、しかし、いつしか暖かい眼で彼らを見つめていることに気づく。

原題は“いっしょにいること、それがすべて”くらいの意か。日本語タイトルにあるパリ7区といえば、オルセーとエッフェル塔にはさまれた高級住宅街だ。その片隅で、彼らの共同生活がはじまる。

レストランの調理場のシーンは圧巻だ。老婆の独白は涙を誘う。

それにしても、もう少し訳は吟味されてもよいと思う。誤字・脱字も少なくない。学研の翻訳文学といえば、スーパー・エディター故安原顯氏が最後に所属したところのはずだが。〈訳者あとがき〉に編集者への謝辞がないのはそのせいか。

しかし、そんなことなど気にならないほど、心暖まる物語ではある。オドレイ・トトゥで映画化も予定されている。『ミーナの行進』とともに、これからの寒~い季節にお勧めの一冊である。(そんな時間はない──という方は『赤い手袋の奇跡―ギデオンの贈りもの』を)。


French Connection II

恋するよりも素敵なこと──パリ七区のお伽話

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