恋するよりも素敵なこと──パリ七区のお伽話
登場する4人の主要人物の第一印象は、とても魅力的とは言えない。
認知症が進み、体力も衰えた老婆。その孫で、生い立ちと仕事の疲れで粗雑きわまりない料理人。ガリガリに痩せ、画家としての才能さえそぎ落としてしまったように見える女性。現代社会に適応できず、絵葉書売りをする貴族の末裔・・・そして、全員が孤独と貧しさに静かに耐えている。
それでも、予感はある。読み進んでもなお4人のいずれにも感情移入できず、しかし、いつしか暖かい眼で彼らを見つめていることに気づく。
原題は“いっしょにいること、それがすべて”くらいの意か。日本語タイトルにあるパリ7区といえば、オルセーとエッフェル塔にはさまれた高級住宅街だ。その片隅で、彼らの共同生活がはじまる。
レストランの調理場のシーンは圧巻だ。老婆の独白は涙を誘う。
それにしても、もう少し訳は吟味されてもよいと思う。誤字・脱字も少なくない。学研の翻訳文学といえば、スーパー・エディター故安原顯氏が最後に所属したところのはずだが。〈訳者あとがき〉に編集者への謝辞がないのはそのせいか。
しかし、そんなことなど気にならないほど、心暖まる物語ではある。オドレイ・トトゥで映画化も予定されている。『ミーナの行進』とともに、これからの寒~い季節にお勧めの一冊である。(そんな時間はない──という方は『赤い手袋の奇跡―ギデオンの贈りもの』を)。
#French Connection II
- 商品名: 恋するよりも素敵なこと 上―パリ七区のお伽話 (1)
- 価格: ¥1,890
- 著者: アンナ・ガヴァルダ
- 出版社: 学習研究社
- 発売日: 2007-02
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- 2007/11/13更新
- 2007/11/13登録
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